ワールド・モニュメント財団

ワールド・モニュメント財団（WMF）とは

ワールド・モニュメント財団（World Monuments Fund: WMF）は、ニューヨークに本部を置く、歴史的建造物や文化遺産の保護を目的とした非営利団体です。1965年に設立され、当初は「国際モニュメント基金」という名称でした。WMFは、世界各地でフィールドワーク、提言活動、助成金交付、教育・人材育成など、多岐にわたる活動を展開しています。

WMFは、英国、フランス、ポルトガル、スペインに事務局や支部を設け、国際的な活動を推進しています。寄付金やマッチングファンドを活用し、アンコール遺跡のプリヤ・カーン寺院やロンドンのブルームズベリ・聖ジョージ教会など、90カ国以上、550を超える歴史的建造物や文化遺産の保護活動を地域社会や政府と協力して行っています。

また、WMFは現代建築の保護にも力を入れており、2006年には「危機に瀕しているモダニズム」事業を開始しました。このプログラムは、現代建築の価値を広く認識させ、その保全を促進することを目的としています。

ワールド・モニュメント・ウォッチとは

WMFが隔年で発表する「ワールド・モニュメント・ウォッチ」リストは、世界各地で危機に瀕している遺跡や記念物を特定し、その保護を訴える活動です。アメリカン・エキスプレスの支援を受けて1996年に開始されました。

このリストは、ユネスコの世界遺産リストや危機遺産リストとは異なりますが、両リストに登録されている遺産と重複する場合もあります。WMFのウォッチリストは、無関心、破壊、紛争、開発、自然災害、気候変動など、さまざまな要因によって危機に瀕している文化遺産に国際的な注目を集め、地域社会の支援を啓蒙し、技術的・財政的な資源提供を促すことを目的としています。

監視対象となる遺産は、政府、保存専門家、NGOなどから選ばれた第三者専門家委員会によって選定されます。古代から現代まで、自然環境から建造物まで、あらゆる種類の遺産が対象となり、考古遺跡、住宅、公共・商業・軍事・宗教建築、文化的景観、都市景観などが含まれます。

2008年版ウォッチリストの注目点

2008年版のウォッチリストでは、特に以下の3つの危機的脅威が強調されました。

政治紛争
都市および産業開発
地球的気候変動

これらの脅威は、世界各地の文化遺産に深刻な損害を与えており、人類が共有する歴史へのアクセスを困難にしています。ウォルト・ケリーの言葉を借りれば、「我々は敵に出会った、その敵こそ我々人類である」という状況を示唆しています。

2008年版ウォッチリストの例

地球的気候変動によって危機に瀕している遺産

ハーシェル島（カナダ）
シンゲッティのモスク（モーリタニア）
ショナルガオ・パナムの都（バングラデシュ）
レーの旧王都（インド・ラダック）

紛争によって危機に瀕している遺産

イラクの文化遺産群（イラク）
バーミヤンの仏教遺跡（アフガニスタン）
生誕教会（ベツレヘム）
ファマグスタの城壁都市（キプロス）
サラエヴォ市民ホール（ボスニア・ヘルツェゴビナ）
シュリーナガル遺産地区（インド）
フリータウンの歴史的記念物（シエラレオネ）

経済および開発圧力によって危機に瀕している遺産

タラの丘（アイルランド）
ダンピアのロックアート（オーストラリア・Murujuga）およびマクサニ・コラニ（ペルー）
マチュ・ピチュ（ペルー）
サンクトペテルブルクのスカイライン（ロシア）
旧ダマスカス（シリア）
ハサンケイフ（トルコ）

歴史的都市

シュリーナガル遺産地区（インド）
リマの旧市街（ペルー）
アンベール市街（インド）
ラ・ワカの歴史的地域（メキシコ・ベラクルス）
キャンディ（スリランカ）
オフリド（マケドニア共和国）

近現代建築

近現代のメインストリート（アメリカ合衆国）
近現代の上海（中華人民共和国）
フロリダ・サザン・カレッジの旧キャンパス（アメリカ合衆国・フロリダ州）
聖ペトロ神学校（スコットランド・カードロス）
ソーク研究所（アメリカ合衆国・カリフォルニア州）
モンテマール海洋生物研究所（チリ）
ジョアン・ミロ財団（スペイン）
旧香川県立体育館（日本）

注目すべき地域

アフリカおよび中東：イコムの石柱（ナイジェリア）、歴史的キルワ・キシワニ（タンザニア）、ワ・ナー宮殿（ガーナ）など
南北中央アメリカ：トゥトゥヴェニのペトログリフ遺跡（アメリカ合衆国）、モーセ村のブレナー・シナゴーグ（アルゼンチン）、ニューヨーク州パビリオン（アメリカ合衆国）など

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ワールド・モニュメント・ウォッチとは

2008年版ウォッチリストの注目点

2008年版ウォッチリストの例

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