ヴェルチェッリ:歴史と文化が織りなすイタリア北部の都市
イタリア共和国
ピエモンテ州に位置するヴェルチェッリは、人口約4万6000人の都市であり、ヴェルチェッリ県の県都でもあります。
トリノと
ミラノの中間、ポー平原を流れるセージア川沿いに広がる、歴史と文化の息づく街です。
古代から中世へ:栄光の軌跡
ヴェルチェッリは、北
イタリアでも有数の古都であり、その歴史は紀元前600年頃にまで遡ると考えられています。当初はリグリア人の一部族であるリビキまたはレベシリの人々の首都として栄え、ローマ時代には重要なムニキピウムに発展しました。
紀元前101年には、ヴェルチェッリ近郊でローマ軍とキンブリ族・テウトネス族の大規模な戦闘(ウェルケラエの戦い)が勃発し、ローマ軍の勝利に繋がった歴史的場所でもあります。
その後、
ゴート族との戦いやランゴバルド族の侵入など、幾多の変遷を経て、
885年には神聖ローマ帝国の聖界諸侯たる司教領となりました。1120年には独立した
コムーネ(都市国家)となり、第1次、第2次の
ロンバルディア同盟にも参加。中世の共和国の中でも特筆すべき独自の法令を制定しました。
1228年には、パドヴァにあった大学が一時的に移転してくるなど、学術都市としての側面も持ち合わせていました。
しかし、中世のヴェルチェッリは常に安定した状況にあったわけではありませんでした。
ミラノの有力家系であるデッラ・トッレ家やモンフェッラート侯国、ヴィスコンティ家など、様々な勢力が支配を争い、ギベリン派とゲルフ派の対立も激化しました。火刑に処せられたドルチーノ派の指導者フラ・ドルチーノといった宗教的な対立も社会情勢に影響を与えていたようです。
近世以降:サヴォイア家との歩み
1427年、ヴェルチェッリはモンフェッラート侯から
サヴォイア公国に譲渡され、以降はサヴォイア家(1720年以降は
サルデーニャ王国)と深く結びつくことになります。
フランスや
スペインによる占領、1704年の長期にわたる包囲戦など、幾多の困難を乗り越え、
1821年には憲法制定を求める蜂起が起こるなど、近代国家への変遷期も経験しています。
文化と教育:芸術と学問の薫り
ヴェルチェッリは、ルネサンス期の画家ソドマ(本名ジョヴァンニ・アントニオ・バッツィ)の出身地としても知られています。また、アナキストとして米国で活動したルイージ・ガッレアーニもヴェルチェッリ出身です。4世紀の司教であり聖人であるヴェルチェッリのエウセビウスも、この街ゆかりの人物として記憶されています。
現在、ヴェルチェッリには東ピエモンテ大学文学・哲学部と
トリノ・ポリテクニコ大学のサテライトキャンパスが置かれており、教育都市としての側面も維持しています。
スポーツ:活気あふれる街の象徴
プロサッカークラブ
FCプロ・ヴェルチェッリが本拠を置くヴェルチェッリは、活気あふれるスポーツ文化も魅力の一つです。ホームスタジアムであるスタディオ・
シルヴィオ・ピオラは、20世紀の名選手
シルヴィオ・ピオラを記念して名付けられました。
まとめ
古くからの歴史と、近世、近代、そして現代へと繋がるヴェルチェッリは、
イタリア北部の魅力的な都市です。豊かな歴史、文化遺産、活気あるスポーツ文化、そして教育機関の存在は、この街を語る上で欠かせない要素となっています。 今もなお、その歴史を刻みながら、未来へと発展を続けるヴェルチェッリの姿は、訪れる人々に深い印象を与えることでしょう。