ヴェンカタ3世

ヴェンカタ3世の生涯と影響

ヴェンカタ3世（テルグ語：వేంకట、タミル語：வெங்க்ட）は、南インドのヴィジャヤナガル王国及びアーラヴィードゥ朝の君主であり、その在位は1630年から1642年までの期間にわたりました。本名はペッダ・ヴェンカタ・ラーヤといい、彼の治世は多くの困難と戦いに満ちたものでした。

王位継承の道のり

1630年、先代の王ラーマ・デーヴァ・ラーヤが子どもを残すことなく逝去したことにより、ヴェンカタ3世はその王位を継承しました。しかし、彼の統治開始早々に、シュリーランガ2世の弟であるティンマ・ラーヤが自らの継承権を主張し、ヴェールールを占拠しました。この事態により、ヴェンカタ3世は一時的にアーネコンダに避難せざるをえなくなります。

この内乱の中でヴェンカタ3世は、シェンジ・ナーヤカ朝、マドゥライ・ナーヤカ朝、そしてタンジャーヴール・ナーヤカ朝からの支援を受けて、ティンマ・ラーヤに立ち向かうことを決意しました。また、彼の甥であるシュリーランガからのプリカットのオランダ勢力の援助も求められる結果となり、これらの力を結集して彼は反乱を鎮圧しました。

ティンマ・ラーヤは最終的に一定の領土を与えられましたが、その後も再び反乱を起こしました。これを受けて1635年、ヴェンカタ3世は再びティンマ・ラーヤを討ち、ヴェールールに戻りました。

タミル地方との紛争

しかし、1637年になると、タミル地方のナーヤカたちとの間に争いが生じ、マドゥライ・ナーヤカ朝とタンジャーヴール・ナーヤカ朝がヴェールールを攻撃してきました。それにもかかわらず、ヴェンカタ3世はこれを撃退し、両国と和平を結ぶことに成功しました。

一方で、ヴィジャヤナガル王国が崩壊に至る理由は、これらの内乱だけではなく、デカン地域のビジャープル王国及びゴールコンダ王国からの継続的な侵攻が大きな要因であったことも見逃せません。特に1630年代になると、ビジャープル王国の軍が南インドのカルナータカ地方や、マイソール王国に進攻を続けました。

反乱の激化と終焉

1638年以降、シュリーランガの反乱が再燃し、ビジャープル王国の侵略に拍車をかける結果となりました。同年の12月には、両軍が共にバンガロールを攻撃し、占領に成功しましたが、その後も混乱が続きます。1641年3月にはビジャープル軍がヴィジャヤナガル王国に遠征を開始しました。この軍勢はシュリーランガの部隊とも合流し、ヴェールールに接近しましたが、ナーヤカの抵抗に遭遇し、撃退されました。

続く1642年4月には、ゴールコンダ王国のミール・ジュムラーが遠征を開始し、その際にヴィジャヤナガル王国の主力軍と激突しました。この戦闘でヴェールゴーティ・ティンマ・ナーヤカとダーマルラ・ヴェンカタ・ナーヤカたちの援軍が加わるも、最終的にゴールコンダの軍に対し大敗を喫することとなりました。

同年10月10日、ヴェンカタ3世はこうした厳しい情勢の中で亡くなり、その後王位は甥のシュリーランガがシュリーランガ3世として引き継ぐこととなります。

参考資料

• - 辛島昇『新版 世界各国史7 南アジア史』山川出版社、2004年。
• - 辛島昇『世界歴史大系 南アジア史3―南インド―』山川出版社、2007年。
• - S・スブラフマニヤム著、三田昌彦、太田信宏訳『接続された歴史 インドとヨーロッパ』名古屋大学出版会、2009年。
• - Velcheru Narayana Rao, David Shulman, Sanjay Subrahmanyam著『Symbols of substance: court and state in Nayaka period Tamilnadu』, 1998.
• - K.A. Nilakanta Sastry著『History of South India, From Prehistoric times to fall of Vijayanagar』, 1955.

関連項目

• - ヴィジャヤナガル王国
• - アーラヴィードゥ朝

このように、ヴェンカタ3世は複雑な内乱と外的侵攻が絡み合う時代において、王国の安定を保つために奮闘しましたが、最終的には彼の死後、さらなる混乱が待ち受けていることとなりました。

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