ヴォストック島

ヴォストック島：太平洋の秘境、無人環礁の生態と歴史

ヴォストック島は、中部太平洋に位置するキリバス共和国領の無人島です。南部ライン諸島に属し、ステイヴァー島など様々な別名を持ちます。手つかずの自然が残るこの島は、独特な生態系と歴史を有しています。

地理と生態系

ヴォストック島は、南緯10度6分、西経152度23分に位置し、面積は約24ヘクタールです。近隣の島としては、南南東約158kmにフリント島、東約230kmにカロリン島（ミレニアム島）が位置します。

島はサンゴ由来の砂浜に囲まれており、島内には礁湖や淡水は存在しません。特筆すべきは、島の大半を覆うピソニア属の純群落です。高さ30mにも達する高密度の森林は、他の植物の生育を阻むほどです。その他には、草本のBoerhavia repensやSesuvium portulacastrumが見られます。

かつてココヤシの植栽が試みられましたが失敗に終わりました。近隣のフリント島やカロリン島ではココヤシが繁茂しているのとは対照的です。

動物相としては、アカアシカツオドリ、オオグンカンドリ、コグンカンドリ、ヒメクロアジサシ、シロアジサシ、アオツラカツオドリ、カツオドリ、クロアジサシなどの海鳥が多数生息しています。陸上では、ナンヨウネズミ、青色の尾を持つトカゲ、ヤシガニ、アオウミガメなどが確認されています。

歴史

ヴォストック島は、1820年にロシアの探検家ファビアン・ゴットリープ・フォン・ベリングスハウゼンによって発見されました。島名は、ベリングスハウゼンの乗艦「ヴォストーク号」に由来します。

1856年のグアノ島法に基づきアメリカ合衆国が領有を主張しましたが、グアノ採掘は行われませんでした。島の過去の居住については不明ですが、ナンヨウネズミの存在から、古代にポリネシア人が訪れた可能性が示唆されています。

その後、イギリス領ギルバートおよびエリス諸島に組み込まれ、1979年のキリバス独立に伴いキリバス領となりました。アメリカ合衆国は独立前まで領有を主張していましたが、タラワ条約によってキリバスの領有を承認し、領有権を放棄しました。

自然保護区としてのヴォストック島

ヴォストック島は現在、ヴォストック島自然保護区に指定されています。2014年には、キリバス政府により、南部ライン諸島の各島周辺12海里が禁漁区に設定されました。

アクセス

ヴォストック島は孤立しており、科学者やヨット愛好家が時折訪れる程度です。クルーズ客船オーシャン・プリンセスの航路に含まれることがありますが、上陸は困難です。接岸・停泊に適した場所がないためです。

まとめ

ヴォストック島は、手つかずの自然が残る貴重な無人島です。特有の生態系と歴史を持ち、自然保護区として保護されています。アクセスは困難ですが、その分、手つかずの自然が保たれていると言えるでしょう。

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