丈部氏

丈部氏の概説

丈部氏（はせつかべうじ／はせべうじ）は、氏名に「丈部」を持つ氏族です。この一族は職業部（品部）として、特に古代日本の社会において重要な役割を果たしました。

起源と系譜

古文書『新撰姓氏録』において、丈部氏の系譜は「天足彦国押人命の孫、比古意祁豆命の後裔」と記されています。また、和泉国の皇別においては、丈部首氏について「武内宿禰の亜流」と記載されています。また右京の皇別では、丈部造氏は「杖部造」と記され、「孝元天皇の皇子、大彦命の子孫」とされていることが示されています。

丈部氏は特に出雲国を除いた遠江国以東の地域、つまり東国や北陸地方に多く見られます。これらの地域に端を発する「連」・「直」といった姓を持つ一族は、丈部を率いる地方の伴造だったと推測されています。具体的には、下野国河内郡の上神主廃寺から出土した瓦を寄進した姓の例が挙げられます。
このような経歴を持つ丈部氏は、後に阿倍氏から賜姓されることもありました。

重要な歴史的出来事

769年には、称徳天皇の治世において、陸奥大国造からの申請によって無姓である複数の人物が「阿倍陸奧臣」の姓を賜ることがありました。同年、丈部直継足も「阿倍安積臣」の名を得ています。また、この年には他の無姓の者たちも多くの姓を賜与され、当時の官吏組織の一環であることを示しています。

772年には、光仁天皇の治世のもと、丈部継守をはじめとする13人が「阿部安積臣」の姓を受けることが記録されています。これにより、丈部氏の影響力がいかに広範であったかが示されています。

氏族の活動

丈部氏はその活動の中で、さまざまな官職に就き、地区の発展に寄与しました。具体的には、丈部造智積は相模国で活動し、715年には孝行が評価され無税の恩恵を受けています。
丈部路忌寸祖父麻呂に関する記録も興味深いものです。720年、彼の父が流罪の危機にある際、兄弟とともに官奴として父の罪を贖うことによって、その流罪を免れるというエピソードが残っています。
また、丈部大麻呂は749年に無位から従五位下に昇進するなど、さまざまな業績を残しています。

文学的背景と文化

丈部氏は、詩歌などの文学的活動にも関わっており、『万葉集』には彼らの詠んだ歌が収録されています。これらの歌は、古代日本文化の一端を担う貴重な資料となっています。

結論

丈部氏は、古代日本の社会における重要な氏族の一つであり、彼らの活動と影響は、地域の発展だけでなく、政治的な側面にも及びました。これらの歴史的記録は、日本の古代史を理解する上で欠かせない要素を提供しています。

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