三国トンネル (国道17号)

三国トンネル（旧三国隧道）

三国トンネルは、かつて群馬県利根郡みなかみ町と新潟県南魚沼郡湯沢町を結んでいたトンネルで、国道17号が通っていました。現在は新三国トンネルが開通したことにより、その役割を終えています。

概要

バイパス起点: 群馬県利根郡みなかみ町吹路
トンネル起点: 群馬県利根郡みなかみ町永井
終点: 新潟県南魚沼郡湯沢町大字三国
全長: 1,218m

三国トンネルは三国峠のほぼ真下を通過しており、群馬県側の坑口付近の標高は1,083m、新潟県側は1,076mでした。トンネルを境に、群馬県側はブラインドカーブが連続する峠道、新潟県側は緩いカーブと急勾配が続く線形となっていました。周辺には猿ヶ京温泉や苗場スキー場などの観光地があります。

完成当時は全国で3番目に長いトンネルであり、群馬県と新潟県を結ぶ重要な道路でした。県境を跨ぐ一般道は国道17号と国道291号の2本のみでしたが、国道291号は自動車での通行が困難なほど荒廃していたため、三国トンネルが唯一の通行可能な一般道でした。

関越自動車道の関越トンネルも群馬・新潟県境を結ぶ道路ですが、危険物積載車は通行できないため、三国トンネルは代替路としての役割も担っていました。

トンネル内は片側1車線で、群馬県側から新潟県側にかけて緩やかな下り勾配でした。制限幅は2.5m、制限高は3.8mと狭く、大型自動車同士のすれ違いは困難でした。車体寸法に関する保安基準の緩和を受けた車両は通行できず、関越トンネルが通行できない場合の代替路として利用できないという問題点もありました。歩道は設置されていませんでしたが、歩行者や自転車の通行は制限されていませんでした。

トンネルの湯沢側には、雪の吹き込みを防ぐための明かり巻が設けられており、そこには建設大臣であった根本龍太郎による「三國隧道 建設省関東地方建設局 昭和三十二年十二月竣工」と記された扁額が掲げられていました。

開通から60年以上が経過し、構造物の老朽化が進んでいたこと、また関越トンネルの代替経路としての重要性から、新三国トンネルが建設されることになり、2022年3月19日に開通。同日16時をもって三国トンネルは閉鎖されました。

通過自治体

群馬県利根郡みなかみ町
新潟県南魚沼郡湯沢町

歴史

1936年（昭和9年）: 峠部分を含む三国街道が国道9号に認定
1940年（昭和15年）: 三国国道改良計画としてトンネル掘削案が承認（ただし、戦争のため着工には至らず）
1952年（昭和27年）: 国道9号が国道17号となり、三国国道改築工事として工事計画が再開
1955年（昭和30年）10月22日: 導坑貫通
1957年（昭和32年）12月: 完成
1959年（昭和34年）6月15日: 三国トンネルを含む、利根郡新治村（当時）吹路 - 南魚沼郡湯沢町大字三国間が開通
2013年（平成25年）: 新三国トンネルの準備工事着工
2022年（令和4年）3月19日: 16時をもって閉鎖、新三国トンネルに交通が切り替え

旧道

三国トンネルを含む前後の国道17号は、旧三国街道に対するバイパスとして機能していました。

利根郡みなかみ町吹路 - 利根郡みなかみ町永井：群馬県道261号法師吹路線
利根郡みなかみ町永井 - 南魚沼郡湯沢町大字三国：登山道

接続するバイパスの位置関係

（前橋・高崎・東京方面）猿ヶ京バイパス - 現道 - 三国トンネル - 現道 - 二居大橋（長岡・新潟方面）

参考文献

国土交通省関東地方整備局高崎河川国道事務所, 『高崎工事事務所70年史』,2004

関連項目

関東地方の道路一覧
中部地方の道路一覧
上越国境
三国峠 (群馬県・新潟県)
新三国トンネル

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