三宝尊

三宝尊とは

三宝尊（さんぼうそん、さんぽうそん）は、法華宗・日蓮宗において本尊として祀られる仏像です。仏教における三宝（仏、法、僧）を具現化したものであり、この三宝を敬うことの象徴として、非常に重要な存在とされています。法華宗・日蓮宗では、宗派内で本仏に関する教義論争があり、三宝尊に対する解釈は様々ですが、ここでは釈尊本仏論派の解釈を基に解説します。

三宝尊の意味

仏教において、三宝は信仰の根幹をなす重要な存在です。三宝尊は、この三宝を具体的に表現したものであり、礼拝することで、三宝を敬うことと同義とされます。釈尊本仏論派では、仏の第一を釈迦如来、法の第一を法華経、僧の第一を日蓮とし、これら三宝の各第一を一体の本尊としてまとめたものが三宝尊であると解釈します。

三宝尊の形式

三宝尊には、複数の形式が存在します。以下に、主な形式を解説します。

一塔両尊

日蓮が法華経の世界を文字で表した十界曼荼羅（大曼荼羅）を基に、その主要部分を仏像として造形化したものです。中央には「南無妙法蓮華経」と書かれた題目宝塔が配置され、その左右最上段には釈迦如来と多宝如来の二仏が並びます。題目宝塔と二仏は、通常、一つの須弥壇に安置されます。

一塔両尊四士

一塔両尊の形式に、上行菩薩、無辺行菩薩、浄行菩薩、安立行菩薩の四菩薩を加えたものです。これらの四菩薩は、二仏の左右に配置されます。

一塔両尊四士四天王

一塔両尊四士の形式に、持国天、増長天、広目天、多聞天の四天王を加えたものです。これらの四天王は、四菩薩の左右に配置されます。

一塔両尊四士四天王二菩薩

一塔両尊四士四天王の形式に、文殊菩薩と普賢菩薩の二菩薩を加えたものです。これらの二菩薩は、四天王の左右に配置されます。

一塔両尊四士四天王二菩薩二明王

一塔両尊四士四天王二菩薩の形式に、不動明王と愛染明王の二明王を加えたものです。これらの二明王は、二菩薩の左右に配置されます。

一尊四士

中央に釈迦如来が安置され、その左右に上行菩薩、無辺行菩薩、浄行菩薩、安立行菩薩の四菩薩が配置された形式です。

二尊四士

中央に釈迦如来と多宝如来が並び、その左右に上行菩薩、無辺行菩薩、浄行菩薩、安立行菩薩の四菩薩が配置された形式です。

一般家庭における三宝尊

日蓮宗の一般檀信徒の家庭では、仏壇に大曼荼羅を安置し、その前に「一塔両尊」型の三宝尊を設置することが一般的です。

関連事項

三宝尊に関連する仏具として、以下のようなものがあります。

木柾（もくしょう）: 読経の際に使用される木製の打楽器。
団扇太鼓（うちわだいこ）: 読経の際に使用される太鼓。


また、三宝尊は、法華宗陣門流など、他の宗派でも祀られることがあります。


このように、三宝尊は法華宗・日蓮宗において重要な役割を果たしています。その形式は多様であり、それぞれの意味合いを理解することで、より深い信仰へとつながるでしょう。

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