三川駅 (北海道)

三川駅（みかわえき）

北海道夕張郡由仁町に所在する、北海道旅客鉄道（JR北海道）室蘭本線の駅です。電報略号はミカ。駅の周辺は広大な田園地帯が広がり、その中に集落が点在しています。室蘭本線においては、稀府駅から三川駅までが複線区間であり、三川駅から岩見沢駅方面へは、由仁駅と栗山駅の間を除いて単線となります。

歴史

この地域には、もともと追分駅と由仁駅の間には鉄道駅が存在しませんでした。しかし、明治27年（1894年）4月、愛知県から加藤平五郎氏率いる20戸25名の開拓団が入植したことが駅設置の契機となりました。翌明治28年（1895年）7月以降、加藤氏が数回にわたり北海道炭礦鉄道へ停車場の設置を請願し、その努力が実り、駅の設置が認められます。

建設工事は明治29年（1896年）9月に着手され、翌明治30年（1897年）2月16日に北海道炭礦鉄道の駅として新設開業しました。開業当初は一般駅として、旅客だけでなく貨物や荷物も取り扱っていました。

その後、明治35年（1902年）11月には公衆電報の取扱いを開始。明治39年（1906年）10月1日には、北海道炭礦鉄道の路線が国有化されたことに伴い、官設鉄道（後に国鉄）の駅となりました。明治42年（1909年）10月12日には、鉄道路線の名称が室蘭本線と定められ、当駅もその所属となります。

昭和11年（1936年）10月3日には、沿線で行われた陸軍特別大演習に合わせて、昭和天皇が乗車されたお召し列車が札幌駅から当駅まで運行されるという特筆すべき出来事もありました。

時代の変化と共に、取り扱い業務は縮小されます。昭和47年（1972年）7月1日に貨物の取扱いが廃止され、さらに昭和55年（1980年）5月15日には荷物の取扱いも廃止されました。同時に駅は無人化され、簡易委託による営業となります。

昭和56年（1981年）11月2日、室蘭本線の岩見沢駅～沼ノ端駅間がCTC化されると、当駅は追分駅の管理下に入りました。翌昭和57年（1982年）4月1日には駅舎が改築されています。昭和62年（1987年）4月1日の国鉄分割民営化により、JR北海道に継承されました。その後、詳細な時期は不明ですが、簡易委託による営業も終了し、完全に無人駅となっています。

駅名の由来

現在の「三川」という駅名は、開拓者の故郷に由来します。もともとこの地は、アイヌ語に由来する「ムマコナイ」と呼ばれていましたが、前述の加藤氏ら開拓団の入植後、その語感が開拓の不成功を暗示するという考えから、新たな地名が必要とされました。そこで、開拓団の故郷である旧三河国（現在の愛知県の一部）にちなんで「三河」という名前が候補に挙がりました。しかし、「三河」ではなく「三川」と名付けられた理由については諸説あります。一つは、故郷の名前をそのまま使うことで故国を汚すことを恐れたためという説、もう一つは、この地に郵便局が設置された際に、愛知県宛ての郵便物との誤送が多発したため、区別するために「川」の字が当てられたという説などが伝えられています。

駅構造

三川駅は、単式ホーム1面と島式ホーム（片面のみ使用）1面を組み合わせた、合計2面2線の地上駅です。単線区間と複線区間の境界に位置しており、列車交換が可能な構造となっています。それぞれのホームは、単式ホームの南側と島式ホームの北側を結ぶ跨線橋によって連絡しています。この跨線橋は、L字型を背中合わせにしたような特徴的な形状をしています。駅舎に面した線路東側の単式ホームが岩見沢方面の上り列車が使用する1番線、対向側の島式ホーム（旧3番線）が長万部方面の下り列車が使用する2番線となっています。

かつては単式ホームと島式ホーム各1面の2面3線の配線でしたが、上下共用の中線（旧2番線）が撤去され、現在の2面2線の形となりました。1993年頃には、貨物取り扱い時代の名残である貨物側線や、複数の側線が存在していましたが、現在は一部が撤去・使用停止されています。

駅舎は構内の東側、単式ホームの中央付近に位置しています。かつて有人駅だった頃の駅舎は改築され、現在は安平駅や栗丘駅などと同型の、破風と側面に青色のラインが入ったデザインとなっています。駅舎内には待合所があり、無人化されていますが、かつての管理事務室やトイレの設備も残されています。

利用状況

駅の利用状況を示す乗車人員数は、年ごとの推移が記録されています。かつては活気がありましたが、時代の流れと共に利用客数は変化しています。近年は地域住民の利用が中心となっています。

駅周辺

駅の周囲は、田園風景の中に集落が形成されています。駅前広場には、煉瓦造りや軟石造りの古い倉庫が並んでおり、この地の歴史を感じさせる景観を作り出しています。駅周辺には、主要な道路として北海道道870号幌内三川停車場線が通り、国道274号や国道234号も比較的近くを通っています。

地域住民の生活を支える施設としては、由仁町役場の三川支所、栗山警察署の三川駐在所、三川郵便局、そしてそらち南農業協同組合（JAそらち南）の三川出張所などがあります。駅の近くには由仁川が流れ、自然豊かな環境です。公共交通としては、駅前を通る北海道中央バスの「三川駅通」停留所があり、バス路線も利用可能です。

隣の駅

JR北海道 室蘭本線
追分駅 (K15) - 三川駅 - 古山駅

その他

三川駅は、音楽グループGLAYが2016年にリリースしたシングル「G4・IV」に収録されている楽曲「Supernova Express 2016」のミュージックビデオ撮影に使用されたことでも知られています。また、新潟県にも同名の「三川駅」が存在します（JR東日本磐越西線）。

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