三根郡

三根郡（みねぐん）

三根郡は、かつて佐賀県（旧肥前国）に存在した郡です。1878年（明治11年）に行政区画として発足しましたが、1896年（明治29年）に三養基[[郡]]へ統合され、その歴史を終えました。郡域は現在の三養基[[郡]]上峰町の全域と、みやき町の一部（江口、西島以南）にあたります。

歴史

古代

三根郡は、古代には『肥前国風土記』や『延喜式』にその名が見られます。『和名抄』では「岑」と記されました。郡名の由来は、『肥前国風土記』によると、景行天皇が神埼[[郡]]三根村付近に行幸された際、この地で安眠できたことから「御寝」（みね）と名付けられ、その三根村が郡名になったとされています。海部直鳥が神埼[[郡]]から三根郡を分郡することを願い出た際に、三根村が郡名となりました。

神亀元年（724年）に創建された千栗八幡宮は、この地域の鎮守であり、宇佐神宮の別宮として崇敬されました。郡内には、漢部、千栗、物部、米多、財部、葛木の6つの郷がありました。

漢部郷：みやき町原古賀の綾部神社一帯。
千栗郷：みやき町千栗の千栗八幡宮一帯。
物部郷：みやき町板部の物部神社一帯。
米多郷：上峰町前牟田の米多一帯。
財部郷：みやき町西尾付近。
葛木郷：みやき町天建寺の葛木神社一帯。

『肥前国風土記』によると、推古天皇の時代に来目皇子が新羅へ向かう際、筑紫で物部の若宮部に社を建て、物部郷と名付けたといいます。また、渡来した忍海漢人に兵器を作らせた場所が漢部郷と伝えられています。米多郷は、かつて筑志米多国造（都紀女加の後裔）が治めていた地域でした。

郡内には、切山駅という駅が1ヶ所ありました。

中世

荘園と公領

『河上神社文書』によると、1292年（正応5年）には、安楽寺御領（安楽寺天満宮）として、米多荘をはじめとする荘園と公領が存在しました。主な荘園には、米多荘、矢俣保、中津隈荘、綾部荘などがありました。

米多荘：57町3反
矢俣保：330町
米多荘：34町
中津隈荘：160町
綾部荘：70町

公田は、三根東郷、三根西郷に分かれ、寄人の地もありました。

三根東郷：266町2反1丈
三根西郷：393町9反
寄人：68町1反

武家の勢力

鎌倉時代には、綾部氏、板部氏などが在地領主として勢力を持っていました。南北朝時代には、足利尊氏により一色範氏が九州探題に任命され、その補佐として綾部城に仁木義長、千栗城に上野頼兼が置かれました。一色氏は、南朝の菊池氏と綾部、千栗をめぐって争いました。室町時代には、九州探題の渋川氏、少弐氏の一族である馬場氏、横岳氏が勢力を持ちました。

綾部城：元は綾部氏の居城でしたが、渋川満頼が拠点とし、後に馬場頼周が奪いました。支城に白虎山城、臥牛城がありました。
西島城：1444年（文安元年）までに横岳頼房が築き、横岳氏5代の居城となりました。

戦国時代には、龍造寺隆信が東肥前を攻略するため、姉川信安を米田に移し、米田村100町を与えました。また、犬塚家広を中津隈城に移しました。

近世

江戸時代には、全域が佐賀藩領となり、郡内の16村のうち5村が養父郡に編入されました。佐賀藩領として残った村は、坂口村、天建寺村、西島村、江迎村、堤村、坊所村、前牟田村、市武村、東津村、寄人村、江口村の11村です。

上峰町坊所には、佐賀藩の重臣である姉川鍋島家（坊所鍋島家）の所領がありました。

近世以降の沿革

明治初年には、肥前佐賀藩領でした。1871年（明治4年）の廃藩置県により佐賀県の管轄となり、その後、伊万里県、再び佐賀県、三潴県、長崎県と管轄が変遷しました。

1878年（明治11年）に郡区町村編制法の施行により、行政区画としての三根郡が発足し、「基肄養父三根郡役所」が養父郡轟木村に設置されました。1883年（明治16年）には再び佐賀県の管轄となりました。

1889年（明治22年）の町村制施行により、南茂安村、上峰村、三川村の3村が発足し、江口村は三根郡北茂安村の一部となりました。

1896年（明治29年）には、「基肄養父三根郡役所」の管轄区域をもって三養基[[郡]]が発足し、同日、三根郡は廃止されました。

行政

郡長は長崎県と佐賀県でそれぞれ任命されました。

脚注

（省略）

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 41 佐賀県、角川書店、1982年3月1日。
旧高旧領取調帳データベース
佐賀市史編さん委員会『佐賀市史　第一巻』佐賀市、1977年。
さがの歴史・文化お宝帳、佐賀市地域文化財データベースサイト

関連項目

消滅した郡の一覧
美祢郡

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