三浦得一郎

三浦得一郎：軍医から政治家へ歩んだ生涯

三浦 得一郎（みうら とくいちろう）は、安政3年（1856年）3月10日に日向国臼杵郡恒富村（現在の宮崎県延岡市）に生まれ、昭和9年（1934年）3月14日にその生涯を終えました。彼は陸軍軍医監（少将相当官）として軍務に尽くした後、政界に転じ、衆議院議員や陸軍副参政官を務めた人物です。

黎明期の学びと軍医への道

郷里の延岡藩校医学館を皮切りに、彼は医学の道を志しました。その後、鹿児島医学校、長崎医学校で研鑽を積み、最終的には陸軍軍医学校を卒業しました。この軍医学校での学びが、彼のその後のキャリアの礎となります。明治15年（1883年）には陸軍軍医試補として軍務に就き、ここから軍医としての長いキャリアが始まりました。

軍医としての輝かしい経歴

陸軍に入官して以降、三浦は陸軍軍医補、陸軍二等軍医、陸軍一等軍医と着実に昇進を重ねていきました。その間、彼は様々な重要なポストを歴任し、軍医としてその能力を発揮しました。福岡衛戍病院や丸亀衛戍病院では院長として病院運営と医療活動を指揮しました。また、陸軍省医務局では衛生課長を務め、軍隊全体の衛生管理や保健政策に携わりました。さらに、関東都督府陸軍軍医部長や第三師団軍医部長といった、広範な地域や部隊の医療・衛生部門を統括する要職も経験しました。

明治27年（1894年）に勃発した日清戦争では、病院船神祐丸の院長として従軍し、戦地での負傷兵や病人の治療・看護に尽力しました。これは戦時下における軍医の重要な役割を示すものであり、彼の献身的な働きが求められた時期でした。

長年の功績と経験が認められ、明治40年（1907年）12月8日には陸軍軍医監に任命されました。これは軍医としての最高位の一つであり、彼の軍における地位と貢献の大きさを物語っています。大正元年（1912年）9月29日に予備役に編入され、現役の軍務からは退きましたが、その軍医としての実績は高く評価されています。

政界への転身と活動

軍を退いた後、三浦は新たなキャリアとして政界に身を投じました。大正4年（1915年）に行われた第12回衆議院議員総選挙に憲政会公認候補として出馬し、見事に当選を果たしました。これにより、彼は軍人から政治家へとその活動の場を移しました。

衆議院議員当選後、彼は第2次大隈内閣において陸軍副参政官という要職に任命されました。陸軍副参政官は、軍の政策決定に関わる重要な役割であり、軍医監としての経験がここで活かされたと考えられます。彼は続く大正7年（1918年）の第14回衆議院議員総選挙でも再選を果たし、衆議院議員として議会活動を継続しました。

栄典と家族

三浦得一郎は、軍人としての長年の功績に対し、数多くの栄典を授与されました。特に、明治39年（1906年）4月1日には日露戦争における功労により功三級金鵄勲章と勲三等旭日中綬章、さらに明治三十七八年従軍記章を受けました。その後も、明治45年（1912年）5月24日には勲二等瑞宝章を、大正5年（1916年）4月1日には旭日重光章を受章するなど、その功績は高く評価され、顕彰されました。

また、彼の長男である三浦虎雄も、父と同様に衆議院議員を務め、さらに延岡市長としても活躍しました。父子二代にわたって政治の世界で貢献したことも、三浦家の歴史における特筆すべき点と言えるでしょう。

三浦得一郎は、軍医として国家の衛生・医療体制の向上に貢献し、さらに政治家として国政にも携わった人物であり、その生涯は多岐にわたる活躍に満ちていました。

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