三重県道22号伊勢南島線

三重県道22号伊勢南島線は、三重県伊勢市を起点とし、度会郡度会町を経て同郡南伊勢町に至る主要地方道です。この路線は、伊勢市と南伊勢町（かつての南島町）を結ぶ主要な幹線道路であり、区間の大部分では三重交通の路線バスも運行されています。

概要

路線の起点は伊勢市黒瀬町の国道23号交差点から始まります。伊勢市の文教地区である倉田山を通り抜け、市街地へと進みます。その後、中島地区から宮川沿いに進路を取り、度会町に入ります。度会町では、宮川の支流である一之瀬川に沿って山間部を進み、度会町の各地域を結びながら進みます。そして、度会町と南伊勢町の境界に位置する難所、野見坂を越えて南下し、南伊勢町の終点である国道260号に至ります。

路線データ

2016年（平成28年）4月1日現在における主な路線データは以下の通りです。

起点: 伊勢市黒瀬町字桜木1235番1（黒瀬町交差点）
終点: 度会郡南伊勢町道方字秋ノ田1318番地先
総延長: 34.8533km
実延長: 33.8114 km
重用延長: 1.0419 km
重複区間: 三重県道37号鳥羽松阪線（御幸道路）の一部（伊勢市神田久志本町「消防署前」交差点 - 本町「外宮北」交差点間）
橋梁: 30本（総延長：608.1m）
トンネル: 2本（総延長：1.9800 km）

歴史

この路線は、かつて「南島街道」として知られていました。明治時代に入ると、近代的な道路としての整備が進められます。1888年（明治21年）3月には、三重県庁に対し工事への県費補助が申請され、道路には2894円55銭、橋梁には11円98銭2厘の補助を得て、1890年（明治23年）に「宇治山田吉津線」として工事が竣工しました。

路線の整備における最大の難所の一つが野見坂でした。1901年（明治34年）にはこの野見坂にトンネル（隧道）を通す計画が浮上しますが、地元が通行税によって建設費を賄おうとした案が三重県に認められず、計画は頓挫します。その後、1920年（大正9年）の三重県議会による「30ヶ年道路改良計画」にも野見坂隧道が含まれましたが、これも実際の着工には至りませんでした。

事業が大きく動き出したのは、真珠養殖で知られる御木本幸吉氏が5,000円を寄付したことがきっかけです。この寄付金を原資として三重県への働きかけが行われ、ようやく1926年（大正15年）9月13日に野見坂隧道の工事が起工される運びとなりました。工事は鹿町組が担当し、30余万円の工費をかけて1928年（昭和3年）7月に待望の野見坂隧道が開通しました。この出来事について、『南島町史』では「南島町の夜明けに等しい」と記されており、地域の発展にいかに重要な役割を果たしたかがうかがえます。

戦後、路線の指定にも変化がありました。1959年（昭和34年）1月25日、それまでの三重県道51号宇治山田吉津線が廃止される代わりに、新たに「三重県道108号伊勢南島線」として指定されます。そして、1972年（昭和47年）に現在の路線番号である「三重県道22号伊勢南島線」に改められました。

主要地方道としては、1964年（昭和39年）12月28日に建設省（当時）から指定を受け、これに基づき三重県が1965年に路線認定を行いました。その後、1993年5月11日および1994年4月1日にも再指定・再認定が行われています。

比較的新しい改修としては、2009年（平成21年）3月19日に、伊勢市津村町から円座町に至る約950メートルの「津村バイパス」が開通し、交通の流れが改善されました。

路線状況

別名

南島街道（伊勢市、南伊勢町）

主な道路構造物

錦水橋: 伊勢市内の勢田川に架かる橋で、「御幸道路」区間の一部を成しています。全長36.7m、幅16m。欄干には12基の擬宝珠が飾られています。近隣には同名の焼き肉店があります。
筋向橋: 宮川の支流である清川に架かっていた橋です。かつて伊勢神宮への参詣道であった伊勢本街道と伊勢参宮街道が合流する地点に位置していました。1928年（昭和3年）にコンクリート橋化され、1970年（昭和45年）には暗渠（地下水路）となりました。近隣にはうらのはし商店街があります。
飛瀬浦橋: 一之瀬川と宮川の合流点近くにある橋で、南詰には信号機が設置されています。
新野見坂トンネル: 度会町と南伊勢町の境にある野見坂を貫くトンネルです。2001年（平成13年）12月に開通しました。かつて本線として使用されていた「野見坂トンネル」は、この新トンネルの上部に位置しています。
野見坂南トンネル: 新野見坂トンネルのすぐ南側に位置するトンネルです。

地理

通過する自治体

伊勢市
度会郡
度会町
南伊勢町

交差する道路

国道23号（起点）
三重県道37号鳥羽松阪線御幸道路（伊勢市神田久志本町）
三重県道102号伊勢二見線（伊勢市神久）
伊勢市道外宮参道線（伊勢市本町）
三重県道32号伊勢磯部線御木本道路（伊勢市本町）
三重県道719号伊勢路伊勢線（伊勢市津村町）
三重県道169号玉城南勢線サニーロード（伊勢市円座町）
三重県道65号度会玉城線（度会郡度会町川口）
三重県道721号度会南勢線（度会郡度会町脇出）
三重県道151号度会大宮線（度会郡度会町南中村）
国道260号（終点）

沿線

小川郷神社
* 一之瀬公民館

三重県道22号伊勢南島線は、伊勢地域と南勢地域を結ぶ重要な交通路であり、その歴史と地形的な特徴から、地域の暮らしや産業を支える動脈としての役割を担っています。特に野見坂を越える区間は、近代化の歴史を物語る重要な箇所と言えるでしょう。

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