上浦町 (愛媛県)

愛媛県上浦町：歴史と変遷

上浦町（かみうらちょう）は、かつて愛媛県の東予地方に存在した町です。越智郡に属し、芸予諸島の大三島の東部に位置していました。ここでは、その地理的な特徴、地名の由来、歴史、行政、教育、交通について詳しく解説します。

地理

上浦町は、瀬戸内海に浮かぶ大三島の東側に位置しています。この地域は、多島美を誇る芸予諸島の一部であり、温暖な気候と豊かな自然に恵まれていました。

地名の由来

上浦という地名は、江戸時代に大三島にあった年貢米を保管する蔵に由来します。当時、大三島には東西に蔵があり、東側の井口地区にあった蔵が「上の倉（上倉）」と呼ばれていたことが、上浦という地名の起源とされています。なお、西側の蔵は「下の倉」と呼ばれていたそうです。

歴史

近世

1713年（正徳3年） - 下見吉十郎によって甘藷（サツマイモ）が伝えられました。

近代

明治初期 - 瀬戸村、甘崎村、井口村、盛村の4つの村が存在しました。
1889年（明治22年）12月15日 - 瀬戸崎村と盛口村に統合されました。
1900年（明治33年）頃 - ウンシュウミカンと除虫菊の栽培が始まりました。
1940年（昭和15年） - 井口と盛を結ぶ海岸道路（後に県道）が開通しました。
1951年（昭和26年） - ルース台風による被害を受け、災害救助法が適用されました。
1954年（昭和29年） - 入浜式塩田から流下式塩田への転換が行われました。
1955年（昭和30年）3月31日 - 瀬戸崎村と盛口村が合併し、上浦村が誕生しました。
1957年（昭和32年） - 井口地区の軍用用地と燃料タンクが丸善石油に払い下げられました。また、井ノ口港と宮浦を結ぶバスの運行が開始されました。
1958年（昭和33年）頃 - プロパンガスの普及が始まりました。
1961年（昭和36年）7月27日 - 鼻栗瀬戸で鉄道連絡船と愛媛汽船の愛媛丸が衝突し、愛媛丸が沈没する事故が発生しました。

町制施行以降

1964年（昭和39年）4月1日 - 町制を施行し、上浦町となりました。当時の人口は6,796人、世帯数は1,754世帯でした。
1965年（昭和40年） - 今治・尾道鉄道連絡船が瀬戸港への寄港を開始しました。
1966年（昭和41年） - 今治と上浦を結ぶフェリーが就航し、農村集団電話の架設も行われました。
1967年（昭和42年） - 瀬戸内海大橋架橋島しょ部促進大会が瀬戸崎中学校で開催されました。
1968年（昭和43年） - 盛へのバス路線が開通しました。
1969年（昭和44年） - 今治と尾道間の水中翼船が井口港への寄港を開始しました。
1970年（昭和45年） - 過疎地域に指定されました。
1975年（昭和50年）頃 - 松くい虫の被害が拡大しました（～昭和54年）。
1979年（昭和54年） - 大三島橋が開通しました。
1988年（昭和63年） - 今治と瀬戸を結ぶフェリー航路が廃止され、第三セクターによる快速船の運航が開始されました。また、コスモ松山石油大三島油槽所が閉鎖されました。
1990年（平成2年）3月 - タオル工場が立地し、操業を開始しました。同年8月には多々羅大橋の起工式が行われ、10月には国民文化祭えひめの行事にて皇太子徳仁親王が来町されました。
1991年（平成3年） - ふるさと創生事業で温泉掘削が開始され（後の多々羅温泉）、第1回サマーフェスタinかみうらが開催されました。
1992年（平成4年） - 台ダムが完成し、島しょ部4町の上水道等の水源となりました。同年4月には井口と垂水（生口島）を結ぶフェリーが就航しました。
1995年（平成7年）5月 - 多々羅温泉が開館しました。
1996年（平成8年） - 金子司町長の死去に伴い、高橋幸意町長が就任しました。
1997年（平成9年）4月 - 農業協同組合の広域合併により、越智・今治農業協同組合が発足しました。
1999年（平成11年）3月 - 瀬戸崎小学校、井口小学校、盛小学校が閉校し、町内は1小学校となりました。また、多々羅地区の一連の観光施設がオープンし、第三セクター「多々羅夢岬」が開業しました。同年5月には多々羅大橋が開通し、瀬戸内しまなみ海道が開通しました。これに伴い、快速船今治-瀬戸航路や井口-垂水フェリー航路が廃止され、井口-三原航路が第三セクター方式で運航を開始しました。さらに、県境を越えての高速バスの運行が開始され、大三島バスストップの利用が開始されました。

行政

歴代町長

上浦町は、以下の町長によって運営されてきました。

初代：松岡一寿（1955年4月 - 1963年4月）
第2代：先田通夫（1963年5月 - 1975年1月）
第3代：簣戸嘉太郎（1975年2月 - 1977年9月）
第4代：松岡久雄（1977年10月 - 1993年1月）
第5代：金子司（1993年2月 - 1996年2月）
第6代：高橋幸意（1996年3月 - 2000年3月）
第7代：小野功（2000年3月 - 合併まで）

市町村合併の経緯

上浦町の市町村合併については、隣接する大三島町とほぼ同様の経緯をたどったため、詳細は大三島町のページを参照してください。

教育

町内には高等学校はなく、同じ大三島内にある愛媛県立今治北高等学校大三島分校（旧・愛媛県立大三島高等学校）が最寄りの高校でした。

交通

航路

盛漁港：フェリーにより竹原市（広島県）と結ばれています。
鼻栗の瀬戸：芸予諸島の沖合を駆け抜ける航路で、大三島と伯方島の間を通過します。潮流が激しい海域ですが、難所の来島海峡や船折の瀬戸を避けることができます。

鉄道

町内には鉄道がなく、最寄り駅はJR忠海駅でした。かつては航路のあったJR今治駅や三原駅も利用されていました。

道路

高速道路：西瀬戸自動車道（しまなみ海道）が通り、大三島インターチェンジがあります。
国道：国道317号が通っています。
県道：県道21号と県道51号が通っています。

道の駅

上浦町多々羅しまなみ公園

出身有名人

村上三島：書道家