上臼杵駅

上臼杵駅：歴史と地域に根付く、静かな駅舎

大分県臼杵市福良にあるJR九州日豊本線の上臼杵駅は、単式ホーム1面1線を有する地上駅です。古風な木造駅舎が特徴的で、地域の静かな佇まいによく溶け込んでいます。

意外な歴史：政治的駆け引きの産物

上臼杵駅の誕生には、興味深い歴史があります。日豊本線の臼杵延伸は、政友会の山本達雄氏（臼杵出身）の尽力によるものと言われています。しかし、そのライバルであった憲政会の箕浦勝人氏（同じく臼杵出身）も、駅設置を誘致。結果、鉄道省としては異例ともいえる近距離に、もう一つの駅が誕生することになったのです。政治的駆け引きが、この駅の存在を決定づけたと言えるでしょう。

駅の変遷：無人化と地域の変化

開業は1917年（大正6年）7月18日。その後、1984年には荷物扱い廃止、委託駅化を経て、JR九州発足後の2015年3月14日には無人駅となりました。JR九州の赤字削減策の一環として行われた措置でしたが、その無人化によって、駅を取り巻く環境も変化していったと言えるでしょう。

アクセスとバリアフリー：意外な配慮

駅舎は国道217号から少し離れた、住宅地の中に位置しています。無人駅であるため、エレベーターなどは設置されていませんが、駅舎からホームへはスロープも整備されており、バリアフリーの観点からも配慮がなされています。これは、複数のホームを持つ臼杵駅とは対照的な点と言えるでしょう。

利用状況と周辺環境：発展を続ける地域

2022年度の1日平均乗車人員は310人。近年増加傾向にあり、地域の生活に密着した駅であることが分かります。周辺は臼杵市の中心部からは離れていますが、住宅地が広がり、近年では市内有数のショッピングエリアにも発展しています。

周辺情報：歴史と文化に触れる

駅周辺には、臼杵平清水郵便局、臼杵市立福良ヶ丘小学校などの公共施設のほか、二王座歴史の道、龍源寺三重の塔、福良天満宮など、歴史的・文化的観光スポットも点在しています。また、東九州自動車道臼杵ICや大分空港行き高速バス「佐臼ライナー」のバス停も比較的近く、アクセス面でも利便性が高いと言えるでしょう。国宝臼杵石仏へのアクセスも良好です。

交通：バス路線の変遷

かつては臼津交通のバス路線が乗り入れていましたが、2009年9月末に廃止されています。現在、駅付近には大分バスの土橋停留所があります。

映画の舞台：静かな佇まい

映画『なごり雪』では、上臼杵駅の外観が臼杵駅として使用されました。駅構内のシーンは重岡駅で撮影されたとのことです。

地域に愛される駅：愛称と隣接駅

地元では「上駅」という愛称で親しまれています。日豊本線では、熊崎駅と臼杵駅に挟まれた位置にあります。

上臼杵駅は、歴史、地域、そして人々の生活が織りなす、静かで温かい魅力を持つ駅です。

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