下頓別駅

下頓別駅

下頓別駅（しもとんべつえき）は、北海道の北部、宗谷地方に位置する枝幸郡浜頓別町字下頓別にかつて存在した鉄道駅です。この駅は、日本国有鉄道（国鉄）が運営し、後に北海道旅客鉄道（JR北海道）に承継されましたが、1989年5月1日に廃止された天北線の歴史とともにその役目を終えました。事務管理コードは▲121907が付与され、電報略号はシトでした。

歴史

下頓別駅の歴史は、今から一世紀以上前、大正時代に始まります。1918年8月25日、鉄道院によって宗谷線の中頓別駅と浜頓別駅の間が延伸された際に、一般駅として開業しました。翌1919年10月20日には、路線の名称が宗谷本線に改められ、当駅もその所属となりました。

大正末期の1924年には、地域の産業を支える動きとして、近くのウツナイ川上流から駅の土場へ木材を運び出すための森林軌道（ウツナイ森林軌道）が敷設されました。この軌道は最盛期には17.4キロメートルにも達しましたが、昭和19年（1944年）には撤去されています。

昭和に入ると、鉄道網の再編が行われ、1930年4月1日には宗谷本線のうち音威子府駅から稚内駅にかけての区間が北見線として分離されたため、下頓別駅も北見線の駅となりました。戦後、1949年6月1日には国鉄が公共企業体となり、当駅もその管轄下に移ります。さらに、1961年4月1日には北見線のうち音威子府・浜頓別・南稚内を結ぶ区間が天北線と改称され、下頓別駅は天北線の駅としての歴史を歩むことになりました。

時代の変化とともに駅の機能も縮小され、1982年6月1日には貨物と荷物の取り扱いが廃止されました。これに伴い、列車の行き違いに用いられていた交換設備の運用も停止され、同時に駅は無人化されました。

1987年4月1日、国鉄の分割民営化により、下頓別駅は北海道旅客鉄道（JR北海道）に承継されますが、天北線が特定地方交通線に指定されていたことから、その廃止は避けられませんでした。そして、1989年5月1日、天北線の全線廃止に伴い、下頓別駅も80年以上の歴史に幕を下ろしました。

駅名の由来

駅名の「下頓別」は、駅が位置する場所が近くを流れる頓別川の下流部に当たることに関連して、「下」の語が冠されたとされています。

駅構造

駅が廃止された時点では、単式ホーム1面1線のみを有する地上駅でした。ホームは線路の西側、南稚内方面に向かって左手に設けられており、列車の行き違いができない棒線駅としての運用となっていました。しかし、かつての下頓別駅は、単式ホーム2面2線を持つ列車交換が可能な構造でした。交換設備が廃止された後、一部の線路は撤去されましたが、ホーム前後の線路はかつての分岐器があった名残でわずかに湾曲した線形を残していました。

駅舎については、無人駅となってからも有人駅時代の木造駅舎が使用されていました。この駅舎は構内の西側に位置し、ホームの中央部分に接していました。外壁は板張りで、窓は木枠という、温かみのある地域の駅らしい造りでした。

利用状況

下頓別駅の利用状況に関する詳細な統計データは少ないですが、地域の集落の規模を反映した利用者があったと考えられます。

駅周辺

駅周辺には、かつての利用者を支えた小さな集落が形成されていました。駅へのアクセス路としては、北海道道586号豊牛下頓別停車場線や、主要幹線である国道275号（頓別国道）が近くを通っています。また、周辺には下頓別郵便局や、かつては浜頓別町立下頓別中学校、浜頓別町立下頓別小学校などの公共施設も点在していました。駅名にもゆかりのある頓別川が付近を流れています。鉄道廃止後の代替交通としては、宗谷バスの天北宗谷岬線が「下頓別」停留所を設けており、現在もこの地域の重要な交通手段となっています。

駅跡

駅が廃止されて久しいですが、現在もその跡地にはかつての面影が残されています。1997年の調査時点ではホームが残存していることが確認されており、2010年時点でも同様にホームが確認されています。この際には、かつてを偲ばせるレプリカの駅名標や信号機なども設置されており、訪れる人が廃駅の雰囲気に触れることができるようになっています。

隣の駅

天北線が運行されていた頃、下頓別駅の隣駅は以下の通りでした。

音威子府方面：新弥生駅
浜頓別方面：常盤駅

関連事項

• - 日本の鉄道駅一覧
• - 特定地方交通線
• - 宇津内森林軌道

もう一度検索