不弥国

不弥国（ふみこく）とは

不弥国は、3世紀の日本列島に存在したとされる国の一つです。中国の歴史書『三国志』の「魏書」東夷伝、通称「魏志倭人伝」や『北史倭国伝』に記述が見られます。

概要

『魏志倭人伝』によると、不弥国は奴国（または伊都国）から東へ百里の位置にあり、長官は多模、副官は卑奴母離という役職名で、千余りの家があったとされています。

東行至不彌國百里 官曰多模 副曰卑奴母離 有千餘家

この記述は、不弥国が当時の日本において一定の勢力を持った地域であったことを示唆しています。

不弥国の位置を巡る議論

対馬国から奴国までの位置については、ほぼ諸説で一致が見られますが、投馬国と邪馬台国の位置については、九州説と畿内説で大きく意見が分かれます。このため、不弥国は、これらの二国への経路にあたるため、その比定地は九州説と畿内説の分かれ目となる重要なポイントとなります。

不弥国の比定地

不弥国の比定地については、内陸説と沿岸説が存在し、それぞれの説で様々な場所が候補として挙げられています。

内陸説

内陸説では、以下の地域が候補として挙げられています。

福岡県宇美町や飯塚市穂波（論者：菅政友、久米邦武など）
大宰府付近（論者：白鳥庫吉、宝賀寿男、楠原佑介など）

特に、考古学界では飯塚市立岩遺跡群を不弥国にあてる見解が有力です。

沿岸説

沿岸説では、以下の地域が候補として挙げられています。

志賀島（論者：田中卓）
福津市津屋崎（論者：笠井新也）
福岡市東区箱崎
北九州市
糟屋郡新宮町
行橋市
築上郡築上町

これらの他にも多くの説が存在します。また、『魏志倭人伝』の記述において、不弥国に至る経路に関する「陸行水行」という表現が他の国への道程記述と異質であること、現存する最古の記録である『魏略』には、この記述や投馬国に関する記述が存在しないことから、これらの記述は後世の写本時に混入されたものであり、実際には不弥国から邪馬台国へは南行するだけであったとする説も存在します。

不弥国への道程

帯方郡から不弥国までの行程については、『魏志倭人伝』や『北史倭国伝』に詳細な記述があります。

これらの記述は、当時の地理や交通手段を考える上で重要な資料となっています。しかし、解釈の違いから様々な説が唱えられており、不弥国の位置を特定する上での議論は現在も続いています。

まとめ

不弥国は、古代日本の歴史を語る上で重要な国の一つです。その位置や歴史的背景については、現在も様々な研究が進められており、新たな発見が期待されます。

参考文献

松木, 武彦『人はなぜ戦うのか-考古学から見た戦争-』講談社〈講談社選書メチエ213〉、2001年5月10日。ISBN 4122064589。

関連項目

倭
倭人
北史倭国伝
立岩遺跡群

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