世界ツーリングカーカップ

世界ツーリングカーカップ（WTCR）

世界ツーリングカーカップ（World Touring Car Cup）は、国際自動車連盟（FIA）が主催するツーリングカーによる国際レースのシリーズです。この大会は、1993年から1995年、そして2018年から2022年の2つの期間にわたって開催されました。特に後者はWTCRという略称でも知られており、ディスカバリースポーツイベンツが運営を行っています。

第一期（1993～1995年）

最初の期間は、1993年に始まりました。この年に採用されたのは『スーパーツーリング（クラス2）』規定で、イギリスツーリングカー選手権（BTCC）などで人気を博していました。シリーズ自体は年に一度の開催で、初回の1993年にはモンツァ・サーキットでレースが行われました。続く1994年にはドニントン・パーク、1995年にはポール・リカール・サーキットで開催され、それぞれが魅力的な戦いの舞台となりました。

この期間中はドライバーズおよびメーカーズタイトルに加えて、国別対抗戦「ネイションズカップ」も設けられ、多くの国から参加者が集まりました。全日本ツーリングカー選手権（JTCC）からはスティーブ・ソパー（BMW）やアンソニー・レイド（オペル/ボクスホール）が参戦し、その盛り上がりを見せました。しかし、1996年にA1リンクで予定されていたレースには参加エントリーが少なく、最終的にはキャンセルされ、このシリーズは終了を迎えました。

第二期（2018年～2022年）

第二期は、2018年に開始されました。この年、前の世界ツーリングカー選手権（WTCC）の消滅を受け、TCR規定に基づくカスタマーレースの隆盛が背景にあります。FIAの規定により、この新たなワールドカップは、従来の選手権とは異なる位置付けとなりました。プロモーターはユーロスポーツ・イベンツが担当しています。

この時期の特徴として、メーカーのワークス（工場）チームの直接参加は禁じられていましたが、著名なワークス系ドライバーが多く参戦していました。一方で、いわゆるプライベーターのチームは、内情がワークスチームのようになっているものもあり、疑問視されることもありました。

初めは多くのエントラントを集めたものの、時間の経過とともに競争が厳しくなり、参加するメーカーの数は減少傾向にありました。また、レースフォーマットはWTCCを踏襲し、従来のレース会場がそのまま使われるケースも多く、たとえばマカオグランプリなどがその例と言えます。タイヤについては、2019年までは横浜ゴム（ADVAN）が供給していましたが、2020年からはグッドイヤーの供給に変更されました。

しかし、2022年にはタイヤの安全性に問題が発生し、シリーズチャンピオンであるLynk & Coがシーズン中に撤退する事態が発生しました。さらに新型コロナウイルスの影響により、エントラントは12台まで減少。こうしたことから主催者側は2022年10月にシリーズを終了することを発表しました。持続可能な運営を模索する中で、2023年以降には「TCRワールドツアー」という新しいシリーズが創設される方針も示されています。

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