秋元喬知

秋元喬知（あきもと たかとも）

秋元喬知は、江戸時代前期から中期にかけての大名で、甲斐谷村藩主、後に武蔵川越藩主を務めました。老中としても活躍し、幕府の政治に深く関与しました。特に土木行政や文化事業に手腕を発揮し、その功績は多岐にわたります。

生涯

下総佐倉藩主であった戸田忠昌の長男として生まれた秋元喬知は、男子のいなかった外祖父、谷村藩主秋元富朝の養子となります。幕府では奏者番から寺社奉行、若年寄を経て老中へと昇進し、第5代将軍徳川綱吉と第6代将軍徳川家宣の二代に仕えました。

土木行政においては、江戸城三の丸建設、護国寺や寛永寺中堂、厳有院仏殿などの造営奉行を務めました。また、元禄大地震からの復興事業では総奉行としてその手腕を発揮しました。文化面では、将軍綱吉に進講を行うほどの好学の君主としても知られています。

綱吉の死後、将軍となった家宣の側近、新井白石や間部詮房による正徳の治を支持しました。老中を退任した後も、白石・詮房派として幕府内に大きな影響力を持ち続けました。宝永4年（1707年）には八瀬童子と天台座主・公弁法親王の争いを裁定し、宝永5年（1708年）には禁裏造営奉行や、白石が発議した正徳金・銀鋳造の総奉行を担当するなど、その政治手腕は高く評価されました。

甲斐谷村藩主時代には、甲斐都留郡における用水堰の開発や郡内織の生産奨励を行いました。特に、河口湖から新倉村（現在の富士吉田市）まで用水を引く新倉掘抜の着工は、領民の生活向上に大きく貢献しました。川越藩主としては、殖産政策を積極的に推進し、藩の経済発展に尽力しました。

経歴

1657年（明暦3年）10月2日：養父秋元富朝の死去により、9歳で甲斐谷村藩1万8,000石を相続し、第4代将軍徳川家綱に謁見。
1677年（延宝5年）7月3日：幕府奏者番に就任。
1681年（天和元年）11月29日：寺社奉行を兼務。
1682年（天和2年）10月16日：若年寄に異動。
1691年（元禄4年）2月3日：下野都賀郡内で5000石加増。
1694年（元禄7年）12月10日：河内八上郡内で7000石加増。
1699年（元禄12年）10月6日：老中に異動。
1700年（元禄13年）3月7日：下野足利郡、都賀郡内および河内丹南、丹北郡四郡内で1万石加増。
1704年（宝永元年）12月1日：元禄地震復興の功績により、河内丹南、丹北、八上三郡で1万石加増。
1711年（正徳元年）12月1日：武蔵入間、高麗、榛澤、足立、埼玉、河内国丹南、丹北、八上の八郡内で1万石加増。合計6万石。同月25日、武蔵川越城を賜う。
1714年（正徳4年）8月14日：老中在職中に死去。享年66。
1912年（大正元年）11月19日：政府より贈従三位。

官歴

1660年（万治3年）12月28日：従五位下但馬守に叙任。
1665年（寛文5年）12月26日：摂津守に遷任。
1685年（貞享2年）10月21日：但馬守に還任。
1699年（元禄12年）12月5日：従四位下に昇叙。但馬守如元。
1700年（元禄13年）12月4日：侍従兼任。

系譜

実父：戸田忠昌
実母：秋元富朝の娘
養父：秋元富朝
正室：秋元忠朝の娘
子女：秋元武朝、秋元喬房、朽木稙元正室、秋田就季正室、戸田忠昌の養女
養子：深受院（有馬一準正室、秋元成朝の娘）

脚注

秋元喬知の事績は、江戸幕府の政治や文化、土木技術の発展を理解する上で重要な資料となります。

関連項目

養寿院
了翁道覚
万石騒動

関連作品

秋元喬知を題材とした作品は数多く、その生涯や人物像は様々な形で描かれています。

絵島生島（1955年、演：海江田譲二）
旗本退屈男（1973年、演：河村弘二）
元禄太平記（1975年、演：河村弘二）
赤穂城断絶（1979年、演：中栄数夫）
峠の群像（1982年、演：森塚敏）
大奥（1983年、演：綿引勝彦）
大忠臣蔵（1989年、演：真木一）
ご存知!旗本退屈男 III（1989年、演：西山辰夫）
四十七人の刺客（1994年、演：出光元）
八代将軍吉宗（1995年、演：滝田裕介）
元禄繚乱（1999年、演：川島宏知）
最後の忠臣蔵（2004年、演：史朗）
徳川綱吉 イヌと呼ばれた男（2004年、演：峰蘭太郎）
大奥（2006年、演：岸谷五朗）
忠臣蔵 瑤泉院の陰謀（2007年、演：西園寺章雄）
* 徳川風雲録 八代将軍吉宗（2008年、演：中田博久）

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