中の湯温泉

中の湯温泉

中の湯温泉は、長野県松本市安曇に位置する温泉地で、中部山岳国立公園内にあります。この温泉地には、硫黄泉が湧き出る「中の湯温泉旅館」と、鉄泉が楽しめる「卜伝の湯」の二つの源泉が存在します。

概要

中の湯温泉は、上高地観光の拠点として、また焼岳登山の中の湯コースの出発点として利用価値の高い場所です。近年では、閉山後の上高地を釜トンネル経由で徒歩で訪れる人々の拠点としても利用されています。

かつて、国道158号と上高地への県道の交差点近くに位置していた「中の湯温泉旅館」は、1998年に現在の場所に移転しました。2005年6月までは、釜トンネルの信号待ち中に、梓川対岸にあった旧中の湯温泉の露天風呂に入浴する光景が、上高地への車窓の名物となっていました。しかし、安房トンネル工事が原因の水蒸気爆発により、旅館は安房峠途中の現在地に移転を余儀なくされました。移転後の旅館からは、穂高連峰の美しい景色を望むことができます。

旧旅館の場所に近い釜トンネル入り口付近には、中の湯売店と洞窟風呂である「卜伝の湯」が残っています。「卜伝の湯」の名前は、塚原卜伝がこの地で修行した際に入ったという伝説に由来します。以前は、宿泊者は予約時間に合わせて旅館からの送迎で利用でき、日帰り入浴も売店で受け付けていました。しかし、2020年3月に通路が崩壊し、現在では入浴することができません。

旧旅館があった梓川沿いの場所では、崖地から温泉が湧き出ており、一帯は湯気と温泉の匂いに包まれています。旧中の湯の源泉とは別の野湯も多く存在しています。沢渡温泉の源泉もこの地域にありますが、これは旧中の湯の源泉とは異なり、安房トンネル工事の際に発見された別の源泉を利用しています。旧中の湯の源泉は、現在では旅館に汲み上げられるものを除き、全て梓川に放流されています。旅館移転後、新しい場所でボーリングを試みましたが、熱い源泉が得られなかったため、旧源泉をポンプアップして利用しています。

アクセス

鉄道・バス:

アルピコ交通上高地線新島々駅から上高地行き路線バスで約45分、中の湯バス停下車。
松本バスターミナルから高山濃飛バスセンター行き特急バスで約75分（冬季は特急バスのみ）、中の湯バス停下車。

バス停前の「中の湯売店」から旅館の送迎車を利用できます。また、朝には旅館から大正池までの送迎サービスがあります。

道路:

安房峠へ通じる国道158号の旧道沿いに位置しています。ただし、冬季（概ね11月中旬から翌年4月下旬頃）は、旅館に通じる区間を含む旧道が閉鎖されるため、岐阜県側および長野県側双方から自家用車で直接旅館へ乗り入れることはできません。冬季には、中の湯バス停前の「中の湯売店」から旅館に連絡し、安房峠道路の中ノ湯インターチェンジの旧道接続部にあるゲート（中の湯ゲート）を開けてもらう必要があります。また、冬季の旅館への乗り入れは4WD車に限られます。

このため、一帯（松本市安曇中の湯）は日本郵便から交通困難地の指定を受けており、冬季（11月11日から翌年4月26日まで）は地外から当地宛に郵便物を送付することはできません。

脚注

中の湯温泉旅館

外部リンク

中の湯温泉旅館)

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