中嶋しゅう

中嶋しゅう：舞台に生きた名優

中嶋しゅう（1948年4月18日 - 2017年7月6日）は、日本の演劇界にその名を刻んだ俳優、そして演出家です。東京都に生まれ、劇団NLTでの活動を経て、COME TRUEに所属していました。妻は女優の鷲尾真知子です。

演劇の世界へ

1979年に東宝芸能アカデミーを卒業後、1977年に劇団NLTに入団。10年間在籍し、1989年に退団しました。退団後は舞台を中心に活動し、50代に入ると、栗山民也、鵜山仁、熊林弘高、小川絵梨子といった名演出家たちの作品で主要な役を演じ、その的確な演技と卓越した台詞術で観客を魅了しました。

2010年には、舞台『BLUE/ORANGE』と『今は亡きヘンリー・モス』での演技が評価され、第45回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。その才能は舞台にとどまらず、黒澤明監督の映画作品や、『日本のいちばん長い日』などの映像作品にも出演しました。

私生活

私生活では、劇団NLTで出会った女優の鷲尾真知子と、25年以上の事実婚を経て正式に結婚。互いの親族の相次ぐ逝去を機に、生命保険の受取人指定を考慮して入籍を決めたというエピソードがあります。

晩年と突然の死

晩年は、舞台『炎 アンサンディ』、『スポケーンの左手』、『夜想曲集』、『あわれ彼女は娼婦』、『ヘンリー四世』、『いま、ここにある武器』など、数々の話題作に出演。古典から現代劇まで、幅広いジャンルでその才能を発揮し、円熟した演技で存在感を示しました。

しかし、2017年7月6日、出演していた舞台『アザー・デザート・シティーズ』の初日、第1幕の上演中に舞台から転落。病院へ搬送されましたが、同日22時頃、急性大動脈解離により69歳で急逝しました。葬儀は7月12日に執り行われ、妻の鷲尾真知子が喪主を務めました。岡本健一や小川絵梨子といった著名な俳優や関係者約300人が参列し、その死を悼みました。

主な出演作品

舞台

阿国（1990年）
ビンゴ（1991年）
ソング・デイズ（1991年）
ピアノ（1992年）
火の鳥（1994年）
GHETTO/ゲットー（1996年）
オルフェオの嘆き（1996年、朗読）
海の沸点（1997年）
陽ざかりの女達（1998年）
エイミィズ・ヴュー（1998年）
雪やこんこん（1999年）
KUNISADA-国定忠治-（1999年）
欲望という名の電車（2000年）
美女で野獣（2001年）
丘の上のイエッペ（2002年）
ニュルンベルク裁判（2003年） - ダン・ヘイウッド 役
かもめ（2004年）
楡の木陰の欲望（2004年）
天国の本屋（2005年）
コーカサスの白墨の輪（2005年）
母・肝っ玉とその子供たち（2005年）
BAKXAI-バッカイ-（2006年）
朱雀家の滅亡（2007年）
氷屋来たる（2007年）
空の定義（2008年）
バーム・イン・ギリヤド（2008年）
かもめ（2008年）
キーン（2008年）
炎の人（2009年）
赤い城黒い砂（2009年）
ヘンリー六世（2009年）
兵器のある風景（2010年）
BLUE/ORANGE（2010年）- ロバート・スミス 役
今は亡きヘンリーモス（2010年）- ヘンリー・モス 役
おそるべき親たち（2010年）
ラスコーリニコフとスヴィドリガイロフ（2010年） - 企画・演出
ミュージカル「エディットピアフ」（2011年）
炎の人（2011年再演）
ミュージカル「ジキル&ハイド」（2012年） - ダンヴァース卿
千に砕け散る空の星（2012年）
橋からの眺め（2012年）
効率学のススメ（2013年）
RunsFirstプロデュース公演「帰郷 The Homecoming」（2013年）
ジャンヌ -ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実-（2013年）ロベール役 / ジョン・ルメートル役
マクベス（2013年）
ボビー・フィッシャーはパサデナに住んでいる（2014年）
炎 アンサンディ（2014年）
狂人なおもて往生をとぐ -昔、僕達は愛した-（2015年）
夜想曲集（2015年）
スポケーンの左手（2015年）- カーマイケル 役
ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門『心中天網島』より-（2016年）
あわれ彼女は娼婦（2016年）
いま、ここにある武器（2016年）
ヘンリー四世（2016年）- ヘンリー四世 役
幸福な職場〜ここにはしあわせがつまっている〜（2017年）
炎 アンサンディ（2017年再演）
アザー・デザート・シティーズ（2017年）

映画

獄門島（1977年）
影武者（1980年）
乱（1985年）
夢（1990年）
まあだだよ（1993年）
エンド・オブ・オール・ウォーズ（2001年）- ナガトモ中佐 役
ラーメンガール（2007年）
くじけないで（2013年）
バイバイ、マラーノ（2013年）
47RONIN（2013年） - 堀部 役
最後の命（2014年） - 大野（ホームレス） 役
日本のいちばん長い日（2015年） - 東條英機 役
関ヶ原（2017年） - 赤耳 役
彼女がその名を知らない鳥たち（2017年） - 國枝 役

テレビドラマ

大河ドラマ
独眼竜政宗（1987年）
武田信玄（1988年） - 平手汎秀 役
八代将軍吉宗（1995年） - 渥美久忠 役
その他多数

舞台（演出作品）

コットンクラブ公演
奪うこと
賭けること
妙なこと
彼女を不安にさせる幾つかのこと
コンクラーベ公演
雲はきっと水になる
ラスコーリニコフとスヴィドリガイロフ
水の話（まつもと市民芸術館）
朗読劇 天切り松 闇がたり（シーエイティプロデュース）

中嶋しゅうは、その才能と情熱で、多くの人々に感動を与え続けました。彼の演劇に対する真摯な姿勢は、これからも語り継がれることでしょう。

もう一度検索