中華人民共和国のソマリア沖海賊対策

中国のソマリア沖海賊対策

中国は、ソマリア沖やアデン湾を航行する自国関係船舶の保護を目的として、海賊対策を実施しました。この活動は、中国人民解放軍海軍にとって、建軍以来初の実戦を伴う外洋遠征となりました。また、明代の鄭和の西征以来、約600年ぶりとなる中国軍艦の遠征としても注目を集めました。

概要

中国政府は、中国人民解放軍海軍に対し、ソマリア沖・アデン湾を航行する中国関係船舶および乗員の安全確保、国際連合世界食糧計画などの人道支援物資を運ぶ国際機関の船舶の護衛を主な任務とする護衛艦隊を派遣しました。

派遣規模は、戦闘艦艇2隻、総合補給艦1隻、艦載ヘリコプター2機、特殊部隊を含む人員約800名で構成されました。

年表

2008年

12月18日：中国外務省が、ソマリア海賊対策のための艦隊派遣準備を発表。
12月26日：第1次派遣隊（駆逐艦「武漢」「海口」、総合補給艦「微山湖」）が海南島三亜を出港。
12月30日：第1次派遣隊がマラッカ海峡を通過、初の洋上補給を実施。

2009年

1月6日：第1次派遣隊がソマリア沖に到着、中国商船の護衛を開始。
1月14日：中国遠洋運輸集団の船舶「天河」に接近した海賊と思われる小型高速艇を撃退。
1月29日：海賊に襲撃されたギリシャ籍商船「エレニグ」を救助。ドイツ連邦海軍のフリゲート「F218 メクレンブルク＝フォアポンメルン」が現場海域に到着し情報提供。
3月：日本の派遣部隊との情報交換が報じられる。
4月2日：第2次派遣隊（駆逐艦「深圳」、フリゲート「黄山」）が湛江を出港。
4月13日：第1次派遣隊と第2次派遣隊が合同任務を実施し、第2次派遣隊が任務を引き継ぐ。補給艦「微山湖」は任務継続。
7月16日：第3次派遣隊（フリゲート「徐州」「舟山」、総合補給艦「千島湖」）が舟山市の軍港を出発。
8月1日：第3次派遣隊が任務開始。
9月10日：中露海軍初の連合護衛艦隊が編成され、ロシア海軍に指揮権を委譲。17隻の船舶を護衛。
9月18日：ロシア海軍と海賊対処合同演習「平和ブルー・シールド2009」をアデン湾で実施。
10月17日：外国籍フェリー（ケイマン諸島籍2隻）を初護衛。
10月30日：第4次派遣隊（フリゲート「馬鞍山」「温州」）が舟山を出港。補給艦「千島湖」は任務継続。
11月12日：第4次派遣隊がアデン湾に到着。
11月22日：欧州連合のアタランタ作戦司令官が座乗するオランダ艦を訪問し交流。
12月14日：第3次派遣隊が帰港途中に香港に寄港。
12月25日：護衛開始から1周年。累計で149回923隻を護衛、うち外国籍船舶は382隻、海賊に襲撃された船舶15隻を救助。
1[[2月27日]]：中国海軍がインド洋に補給基地の設置を模索していることが明らかになる。

2010年

3月4日：第5次派遣隊が三亜港を出航。
3月15日：第5次派遣隊がアデン湾に到着、第4次隊と合流し任務開始。
3月28日：帰国する2隻の艦艇「馬鞍山」「千島湖」がアラブ首長国連邦・アブダビに寄港。人民解放軍海軍初のペルシャ湾岸への寄港。
6月30日：第6次派遣隊にドック型揚陸艦「崑崙山」、駆逐艦「蘭州」が加わり、アデン湾へ派遣。補給艦「微山湖」は任務継続。
11月2日：第7次派遣隊が舟山軍港から出航。
11月27日：帰国途中の第6次隊がサウジアラビア籍船団を護衛し、ジッダに5日間寄港。
12月14日：中国海軍が護衛中の日本のケミカルタンカーが武装船から攻撃を受け、船員が負傷したと報道。

2011年

2月25日：リビア騒乱で取り残された自国民救出のため、駆逐艦「徐州」を一時護衛任務から解除し、リビア海域に派遣。
2月21日：第8次隊（駆逐艦「温州」「馬鞍山」）が舟山から出航。両艦は2度目のソマリア沖派遣。
5月9日：護衛任務を終えた第7次隊がタンザニア、南アフリカ、セーシェルなどを訪問後、シンガポールに寄港。
7月2日：第9次派遣隊（駆逐艦「武漢」、フリゲート「玉林」、補給艦「青海湖」）が湛江から出航。
11月13日：第10次隊と第9次隊が洋上で合流、護衛を開始。
11月21日：第9次隊が護衛任務を終え帰国。途中でクウェート、オマーンを訪問。

2012年

2月27日：第11次派遣隊が青島から出航。
3月15日：第11次隊と第10次隊が洋上で合流し、護衛任務を開始。帰国する第10次隊は香港返還15周年を記念し香港に寄港。
7月3日：第12次派遣隊（フリゲート「常州」「益陽」、補給艦「千島湖」）が舟山から出航。
7月23日：第11次隊が国内外184隻の護衛任務を終え帰還。ルーマニア、ブルガリア、イスラエルを含む5ヶ国を訪問。
9月13日：第11次隊が青島に帰港。
11月9日：第13次派遣隊（フリゲート「黄山」「衡陽」、補給艦「青海湖」）が出航。

2013年

3月13日：第14次派遣隊が海域に到着、第13次隊と共同護衛に従事。
8月8日：第15次派遣隊（揚陸艦「井崗山」、フリゲート「衡水」、補給艦「太湖」）が湛江から出航。
11月30日：第16次派遣隊（フリゲート「洛陽」「塩城」）が青島から出港。12月21日には第15次派遣隊と共同で船団護衛。

2014年

1月23日：第15次派遣隊が護衛任務を終了。
3月24日：第17次派遣隊（駆逐艦「長春」、フリゲート「常州」、補給艦「巣湖」）が舟山軍港から出港。
4月24日：第16次派遣隊が護衛任務を完了。アフリカ8カ国訪問の航海を開始。
5月5日：第16次派遣隊が急遽チュニジアを訪問。
5月6日：地中海でイタリア商船の救難信号を受信。「巣湖」が救助活動を実施。
5月14日：「常州」が不審船を駆逐。
6月2日：中国海軍とカメルーン海軍がギニア湾で初の合同海賊対策演習を実施。
8月1日：第18次派遣隊（フリゲート「運城」、水陸両用艦「長白山」）が湛江から出港。「長白山」は初の護衛派遣。
12月2日：第19次派遣隊（フリゲート「臨沂」「濰坊」、補給艦「微山湖」）が青島から出港。「臨沂」「濰坊」は初の護衛派遣。
12月11日：米中両国海軍が「海上衝突回避規範（CUES）」運用訓練を実施。

2015年

3月29日：「臨沂」がイエメンに派遣され、アデン港で中国企業関係者を避難させる。同時に他国籍の避難民も救出。
4月3日：第20次派遣隊（ミサイル駆逐艦「済南」、フリゲート「益陽」、補給艦「千島湖」）が舟山港から出航。
7月24日：「済南」がインド・ムンバイを訪問後、護衛任務に復帰。第20次隊は護衛任務終了後、グローバル訪問を開始。
8月4日：第21次派遣隊（フリゲート「柳州」「三亜」、補給艦「青海湖」）が三亜港を出航。「柳州」「三亜」は初の護衛派遣。
9月26日：派遣艦隊首脳部が韓国海軍の駆逐艦「李舜臣」に乗艦し交流。
12月6日：第22次派遣隊（駆逐艦「青島」、フリゲート「大慶」、補給艦「太湖」）が青島から出港。

派遣状況

中国のソマリア沖海賊対策は、長期にわたる派遣活動となりました。この活動は、中国海軍の遠洋航海能力の向上に貢献しただけでなく、国際社会における中国のプレゼンスを高めることにも繋がりました。

脚注

（※）必要に応じて脚注を追加してください。

関連項目

第151合同任務部隊
アタランタ作戦
ソマリア沖海賊の対策部隊派遣
清海部隊
* ロシアのソマリア沖海賊対策

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