串木野鉱山

串木野鉱山は、鹿児島県いちき[[串木野市]]に位置する、かつて金や銀を産出していた鉱山です。300年以上の歴史を持ち、国内でも有数の金産出量を誇りました。最盛期には、年間1300kg以上の金を産出した記録が残っています。

概要

串木野鉱山は、狭義には西山坑（一坑）と芹ヶ野坑（二坑）を指しますが、広義には芹ヶ野金山、荒川鉱山、羽島鉱山、芹場鉱山など、周辺の複数の鉱山群を含めて扱われます。これらの鉱脈群は、東西12km、南北4kmの範囲に分布しており、大規模な鉱床を形成していました。1994年に操業を停止し、その後テーマパーク「ゴールドパーク串木野」も閉鎖されましたが、2005年からは一部の坑道が焼酎の貯蔵庫として再利用され、「薩摩[[金山蔵]]」として新たな観光スポットとなっています。

地質

鉱山周辺の山地は、中新世後期から鮮新世前期にかけて活動した北薩火山群に属する火山によって形成されています。地質は、プロピライト化作用を受けた輝石安山岩で構成されており、その中に浅熱水性の含金銀石英の方解石脈が胚胎しています。約400万年前の熱水活動によって形成された鉱床には、エレクトラムやテルル化金などの形で金や銀が含まれており、鉱石は主に「銀黒鉱」と「オシロイ鉱」が産出されました。金と銀の比率は約1：10でした。

鉱脈

火立ヶ丘周辺には約40本の鉱脈が分布しています。多くの鉱脈は東北東から西南西の方向に伸び、地下に向かって東南東に45度の傾斜で続いています。主な鉱山は、北西から羽島鉱山、荒川鉱山、西山鉱区、芹ヶ野金山、芹場鉱山の順に並んでいます。特に大きな鉱脈は、串木野1号𨫤で、その規模は幅3-60m、上下450m、長さ2600mに達し、日本有数の金鉱脈でした。

三井串木野鉱山の歴史

1906年、三井鉱山が西山鉱区を買収したことで、串木野鉱山の本格的な開発が始まりました。その後、羽島鉱山や芹ヶ野金山も買収し、1914年には日本で初めて全泥式青化精錬法を導入しました。太平洋戦争中は一時休止しましたが、戦後に操業を再開し、1964年には三井串木野鉱山として独立しました。

戦後の最盛期には年間15万トンの鉱石を採掘していましたが、1994年に採掘を停止しました。その後、坑道の一部を利用した観光施設が開園しましたが、2003年に閉鎖。2003年からは、焼酎の熟成貯蔵庫として活用され、「薩摩[[金山蔵]]」として新たな観光スポットとなっています。

各鉱区ごとの歴史

西山坑：串木野鉱山の中核をなす鉱区で、万治年間にはすでに採掘が行われていたという説があります。三井鉱山による買収後、大規模な開発が行われました。最盛期には、1日に1300トンの鉱石が採掘され、年間1397kgの金を産出しました。

芹ヶ野金山：1652年に鉱脈が発見され、島津藩によって本格的な開発が行われました。一時は7千人を超える鉱夫が集まるほどでしたが、その後衰退。幾度かの再開発を経て、最終的には三井串木野鉱山に譲渡されました。

荒川鉱山：明治時代に個人によって開発され、その後日本鉱業を経て三井串木野鉱山に買収されました。西山坑と内部で接続されており、斜坑が設けられていました。

羽島鉱山：江戸時代から採掘が行われていた鉱山で、鉱脈は東シナ海の海底に続いています。三井串木野鉱山に買収され、太平洋戦争前までは断続的に採掘が行われていました。

精錬方法

初期には、鉱石を砕いて臼で擂り潰し、淘鉢で金を選別する原始的な方法が用いられていました。明治時代後期には、シアン化カリウムを用いる青化法が導入され、効率的な精錬が可能となりました。

参考文献・出典

浦島幸世　『かごしま文庫10　金山 - 鹿児島は日本一』　春苑堂出版、1993年
串木野市郷土史編集委員会編　『串木野市郷土史』　串木野市教育委員会、1984年
五代龍作著、発行　『芹ヶ野金山鉱業史』　1911年
竹中武夫　『芹ヶ野金山あれこれ』　誠広出版、1991年
* 中村廉　「串木野鉱山の概要」（PDF）　『地質ニュース601号』　産業技術総合研究所地質調査総合センター、2004年

串木野鉱山は、その長い歴史の中で多くの金や銀を産出し、地域の発展に大きく貢献しました。現在では、その歴史を伝える観光施設として、多くの人々に親しまれています。

もう一度検索