久松山

久松山（きゅうしょうざん）

久松山は、鳥取県鳥取市に位置し、標高263メートルの山です。この山は、鳥取市街地の東に立ち、市の象徴として親しまれています。その麓には、桜の名所である久松公園や、鳥取県立博物館、仁風閣といった魅力的なスポットも点在しています。

歴史的背景

久松山の歴史は、室町時代後期に遡ります。山の自然地形を活かして鳥取城が築かれ、特に1581年には羽柴秀吉の軍による籠城戦が展開されました。この際、厳しい戦況の中で人肉を食べるという悲劇的な出来事が報告されています。江戸時代には、鳥取藩の池田氏がこの地を治め、城が重要な役割を果たしました。明治時代には城が解体されたものの、山頂や山麓にその跡や石垣が今も残っています。1957年にはこの山が国の史跡に指定され、多くの出来事を見守ってきた場所となっています。

地形・地質について

久松山は主に花崗岩から成り立っており、中生代白亜紀末に貫入した岩石が、地殻変動や浸食を経て現在の形を成しました。地形は寸尺標高ですが、険しい山容を呈しています。この特有な地形が鳥取城の築城に多いに利用されたのです。山頂付近には玄武岩の転石も存在し、天守台の石垣に使用されるなど、この地域の地質的特性を物語っています。

豊かな自然環境

久松山は、シイやカシ、ツバキといった常緑広葉樹に覆われ、多様な植生があります。常緑広葉樹林は周辺地域では珍しい存在であり、それがこの山が選ばれ、保護されてきた理由の一つです。また、古代の海進の影響で生じたツワブキやトベラも今なお見られます。キノコの栄えており、170種類以上が確認されているため、年間を通じて多様なきのこが楽しめる地として知られています。さらに、多くの野鳥や蝶も生息しており、特にキマダラルリツバメは国の天然記念物に指定されています。

登山とアクセス

登山道は主に二の丸からの中坂道と長田神社からの長田道の二つがあり、どちらも山頂へのアクセスが可能です。中坂道は約30分、長田道は約1時間で山頂に達します。山頂からは鳥取市街地や日本海の美しい景色を望むことができます。1994年には「久松山を考える会」により、西坂道が復元され、より多くの訪問者に利用されるようになりましたが、急傾斜で滑りやすいので十分な装備が必要です。また、最近はクマの目撃情報も増えており、登山には注意が必要です。

催し物と観光

久松山では、毎年お盆の時期に「大文字」の点灯式が行われており、平和を願うイベントとして地域に親しまれています。かつては久松山ロープウェーも運行されていましたが、1976年に廃止され、現在はその跡地が文化センターなどとして利用されています。観光案内書にはロープウェーの情報が残っていますが、運行していないため、訪れる際は登山道を利用してください。

まとめ

久松山はその歴史的な背景や豊かな自然、登山の魅力を兼ね備えた観光地です。歴史と自然が融合したこの地を訪れて、心豊かなひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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