九条良通

九条良通

九条良通（くじょう よしみち）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての公卿であり、歌人としても知られています。関白を務めた九条兼実の長男として生まれ、九条内大臣、冷泉内大臣と号しました。

経歴

良通は、父である九条兼実の嫡男として、周囲から大きな期待を受けて育ちました。また、伯母にあたる皇嘉門院聖子の猶子となります。承安5年（1175年）に元服し、従五位上に叙せられて官吏としての道を歩み始めました。侍従、右近衛中将を経て、治承2年12月（1179年2月）には従三位に叙せられ、公卿の仲間入りを果たします。

治承3年（1179年）には従二位・権中納言兼右近衛大将に、養和2年（1182年）には権大納言へと、摂関家の子弟として順調に昇進を重ねました。文治2年（1186年）には、摂政であった近衛基通が失脚したことを受け、父・兼実が摂政に任ぜられたわずか6ヶ月後、上位者5人を飛び越えて、20歳という若さで内大臣兼左近衛大将に昇進します。しかし、その2年後の文治4年（1188年）に、病に倒れ急逝しました。享年22歳という若さでした。良通の急死は、父である兼実に大きな衝撃を与え、兼実が出家を考えるほどだったと伝えられています。

良通の早すぎる死により、九条家の嫡流は同母弟である良経に受け継がれることとなりました。なお、良通が聖子から継承した最勝金剛院領などの皇嘉門院領は、後の九条家家領の源流となりました。

人物

良通は、若年でありながら和漢の文学に通じた才人として知られていました。勅撰歌人としても名を残し、『千載和歌集』には彼の歌が4首入集しています。『古今著聞集』には、良通が亡くなって間もない頃、弟である良経の夢枕に現れ、自らの無念の思いを込めた漢詩を吟じる説話が記されています。この逸話からも、彼の才能と早すぎる死が周囲に与えた影響の大きさがうかがえます。

系譜

父：九条兼実（1149-1207）
母：藤原兼子 - 藤原季行の娘
* 妻：藤原兼雅の娘（1170-?）

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