二荒芳徳

二荒芳徳

二荒芳徳（ふたら よしのり、旧字体：二荒󠄁 芳德、1886年10月26日 - 1967年4月21日）は、愛媛県出身の政治家、官僚であり、伯爵の爵位を持っていました。彼は日本体育専門学校（現在の日本体育大学）の校長を務め、後に日本体育大学の名誉教授となりました。

生涯

伊予宇和島藩の9代藩主であった伊達宗徳の九男として伊達九郎の名で生まれました。その後、北白川宮能久親王の庶子である二荒芳之伯爵の養子となり、二荒芳徳と改名しました。

1915年7月16日には、北白川宮家の拡子女王（芳之の異母妹）との結婚の勅許が下り、同年7月20日に結婚しました。1917年にはヨーロッパへ留学し、1921年には皇太子裕仁親王（後の昭和天皇）のヨーロッパ訪問に随行員として参加しました。

1925年7月10日には、貴族院の伯爵・子爵・男爵議員選挙において当選を果たし、貴族院議員として活動しました。その他、静岡県理事官、宮内書記官、東宮職御用掛、学習院講師など多くの役職を歴任し、厚生省顧問、学習院評議会会員、国民体力審議会委員、外務省委員など、多岐にわたる分野で活躍しました。

国際的な活動も積極的に行っており、1931年の万国議院商事会議（プラハ）、1933年の第29回列国議会同盟会議（マドリード）、1937年の第33回列国議会同盟会議（パリ）に派遣されています。

東宮職御用掛を務めていた1926年には、北一輝一派が北海道の御料林払い下げを巡る汚職事件に関与したとして宮内省関係者を攻撃する事件（宮内省怪文書事件）が発生しました。二荒芳徳は、北一輝と面会するなど事件の収束に奔走し、捜査の過程で検事の取り調べを受けました。

戦前期には、スカウト運動や教育に関する著作を多数発表しています。1940年には、甥である北白川宮永久王が戦地で殉職した際、二荒芳徳は『嗚呼北白川宮殿下』を作詞し、古関裕而が作曲を手掛け、その「戦死」を讃えました。

1951年3月3日、皇太子裕仁親王のヨーロッパ訪問30周年を記念する式典に、当時の随行員の一人として皇居に招待されました。

年譜

1913年 - 東京帝国大学法科大学政治科卒業。静岡県理事官に任官。
1917年 - ヨーロッパに留学。
1921年 - 皇太子裕仁親王のヨーロッパ訪問に随行。
1922年 - 少年団（ボーイスカウト）日本連盟の初代理事長に就任。
1925年 - 貴族院伯爵議員に当選（1947年まで在任）。
1931年 - 世界スカウト機構の委員会メンバーに就任（～1938年）。
1937年 - ボーイスカウト世界大会出席のためオランダへ渡り、帰国途中にドイツを視察。
1938年 - 体操学校校長に就任。
1941年 - 大日本少年団連盟の副団長に就任。
1946年 - 日本体育専門学校（旧体操学校）を退職。
1949年 - ボーイスカウト日本連盟顧問、総コミッショナーに就任。

人物像

1925年に貴族院伯爵議員に当選した当時、「聡明にしてノーブル」であり、「温和な容貌」に加え、スポーツで鍛えられた肉体と洗練された弁舌による覇気と才知を有すると評されました。

血縁

妻：二荒拡子
子:
長女：荒尾富士子
三女：井上明子
四女：石坂治子
長男：二荒芳忠
次男：二荒芳彦
義兄弟：北白川宮成久王、竹田宮恒久王、小松輝久侯爵、二荒芳之伯爵、上野正雄伯爵など

栄典

1913年 - 正五位
1931年 - 帝都復興記念章
1940年 - 紀元二千六百年祝典記念章

主な著作

『少年団夜話』
『少年団の精神』
『皇太子殿下御外遊記精神』（共著）
『エチケット』
『若き日本の行くべき道』
『新日本の自主的建設』
『今上陛下の御聖徳』
『少年団と青年団』
『聖上陛下の御盛徳に就て』
『聖徳を仰ぎて』
『わが魂をかへりみて』
『敢然頂角を往く』
『少年団健児教本』
『思想非常時と現代教育の革新』
『聖勅謹解』
『日本よい國』
『ヒットラーと青年』（共著）
『独逸は起ちあがつた』
『八紘為宇の御精神と明日の日本の道』
『皇国の道を直視して』

作詞

『嗚呼北白川宮殿下』
『胸張れよ』

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