二見秋三郎

二見秋三郎について

二見秋三郎（ふたみ あきさぶろう）は、1895年（明治28年）1月3日に生まれ、1987年（昭和62年）3月10日に亡くなった、日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍少将。

生い立ちと初期の軍歴

神奈川県出身の二見秋三郎は、地主の二男として生まれました。横浜第一中学校、陸軍中央幼年学校を経て、1916年（大正5年）に陸軍士官学校を卒業。歩兵少尉に任官し、歩兵第4連隊に配属されました。1918年（大正7年）から1920年（大正9年）にかけては、シベリア出兵に従軍しています。その後、陸軍大学校を卒業し、参謀本部での勤務を経て、1936年（昭和11年）に歩兵中佐に昇進しました。

航空兵科への転科と日中戦争

1937年（昭和12年）に航空兵科へ転科し、航空兵中佐に。翌年には航空兵大佐に進級し、参謀本部付となります。1938年（昭和13年）には朝鮮軍参謀として張鼓峰事件に対応しました。1940年（昭和15年）には、第11軍参謀として日中戦争に出征し、同軍の参謀副長に就任。1941年（昭和16年）には陸軍少将に進級しています。

太平洋戦争とガダルカナル島

1942年（昭和17年）、二見は第17軍参謀長として太平洋戦争に出征。第17軍はポートモレスビー攻略作戦を計画していました。作戦準備中、二見は「米軍はジャングル戦に慣れていないため、上陸してくればチャンスである」と述べていたとされています。しかし、その直後に連合国軍がガダルカナル島に侵攻し、ガダルカナル島の戦いが勃発。二見は、十分な兵力と補給なしの作戦開始に反対したため更迭されました。

大本営陸軍部の参謀であった辻政信は、二見が病気のため更迭されたと回想していますが、実際には作戦方針の対立が原因であったと考えられています。後任の宮崎周一少将に職務を交代し、二見はラバウルを離れました。

その後

1942年（昭和17年）10月、二見は東部軍司令部付となり、同年12月には予備役編入と同時に召集され、羅津要塞司令官に就任しました。1945年（昭和20年）には独立混成第107旅団長となり、終戦時は第154師団長心得として宮崎県で本土決戦に備える中で終戦を迎えています。1947年（昭和22年）には公職追放の仮指定を受けました。

親族

義父には陸軍少将の長谷川国太郎、義弟には陸軍中佐の長谷川寿雄、娘婿には陸軍少佐の平林克巳がいます。

二見秋三郎の人物像

二見秋三郎は、陸軍軍人として数々の戦場を経験し、その中で培われた冷静な判断力と、状況を的確に分析する能力を持っていたと考えられます。ガダルカナル島の戦いにおける彼の更迭は、当時の軍部の方針と合わなかったためと推測できます。

参考文献

軍事史学会「ガダルカナル島作戦秘録『残骸録』」『防衛研究所図書館所蔵　大本営陸軍部作戦部長　宮崎周一中将日誌』錦正社、2003年6月。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
リチャード・F・ニューカム(著)、田中至(訳)『サボ島沖海戦　米海軍史上最大の敗北』光人社〈光人社NF文庫〉、1998年4月（原著1963年）。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
文藝春秋編「辻政信著「ガダルカナル」」『完本・太平洋戦争（上）』文藝春秋、1991年12月。

関連項目

百武晴吉
辻政信
第一次ソロモン海戦
イル川渡河戦

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