五ケ別府町

五ケ別府町（ごかべっぷちょう）

鹿児島市西部に位置する五ケ別府町は、永田川の上流域から中流域にかけて広がる町です。北は西別府町、南は皇徳寺台や中山町、東は山田町や星ヶ峯、西は春山町や石谷町と隣接しています。かつては皇徳寺台や星ヶ峯の一部も五ケ別府町に属していましたが、ニュータウンの開発に伴い、それぞれ独立した町名となりました。

地理

町域の中央部を永田川が流れ、その流域には川口や炭床といった集落が形成されています。町内には鹿児島実業高等学校や鹿児島工学院専門学校といった教育施設があり、文教地区としての側面も持ち合わせています。また、かつては町内にあった鹿児島市立宮川小学校は、皇徳寺台の人口増加に伴い移転し、現在は宮川幼稚園と鹿児島市宮川野外活動センターとして利用されています。

町域の北端部には鹿児島県道24号鹿児島東市来線が、北部には鹿児島本線が、中央部には鹿児島県道35号永吉入佐鹿児島線が東西に走っています。これらの道路沿いに住宅や商店が点在し、生活の利便性も高い地域です。

由来

町名の由来は、古くは朝廷から賜った勅旨田（別府）であったこと、そして山中にわずか5軒ほどの家があったことから「五ケ別府」と名付けられたとされています。この地は、古くから人々の生活の場として歴史を刻んできました。

歴史

先史時代

五ケ別府町では、永田川上流の渓谷を挟んだ台地上で、土器や石器が発見されており、古くから人々が生活していたことが伺えます。特に、塔ノ原遺跡からは弥生時代の土器が発見されており、この地が古代から重要な場所であったことを示唆しています。

中世

室町時代には「五ケ別府」という地名が確認されており、薩摩国の一部でした。当時は上別府村とも呼ばれ、山田氏が領有していました。また、鹿児島諏訪社の祭礼では、花棚や西田などとともに祭礼役を担っていました。

近世

江戸時代には、薩摩藩の谿山郡谷山郷に属していました。当初は山田郷に属していましたが、後に谷山郷に移りました。村には庄屋が置かれ、士族も農業を営んでいました。また、村の中央には射場が設けられていました。

近現代

1889年の町村制施行により、五ケ別府村は周辺の村々と合併して谷山村となり、その大字「五ケ別府」となりました。その後、谷山村は谷山町、谷山市へと発展し、五ケ別府は谷山市五ケ別府町となりました。1967年に谷山市は鹿児島市と合併し、五ケ別府町は鹿児島市の一部となりました。

1978年には宮川幼稚園が開設され、1986年には宮川小学校が移転しました。その後、跡地には宮川野外活動センターが開設されています。また、1989年以降、星ヶ峯や皇徳寺台のニュータウン開発に伴い、五ケ別府町の一部が分離し、新たな町名が誕生しました。

文化財

町内には、市指定の有形民俗文化財である「川口の田の神」が祀られています。これは、地域の農業文化を今に伝える貴重な遺産です。

施設

公共施設

星ヶ峯墓園
鹿児島市宮川野外活動センター（旧鹿児島市立宮川小学校跡）

教育施設

鹿児島工学院専門学校
鹿児島実業高等学校
鹿児島市立宮川幼稚園

その他

五ケ別府簡易郵便局
学校法人川島学園本部
鎮守神社（サルタヒコを祀る神社）

交通

町内には鉄道駅はありませんが、鹿児島本線が中央部を東西に通過しています。最寄りの駅は、田上町の広木駅か上谷口町の上伊集院駅です。

主要道路としては、鹿児島県道24号鹿児島東市来線と鹿児島県道35号永吉入佐鹿児島線が町内を東西に走っており、周辺地域とのアクセスを支えています。

人口

1995年以降の人口推移を見ると、住宅開発の影響を受けながらも、一定の人口を維持していることがわかります。

まとめ

五ケ別府町は、自然と歴史、そして教育施設が共存する魅力的な町です。かつての歴史を物語る文化財や、人々の生活を支える公共施設が、この町の魅力をさらに深めています。

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