延岡城

延岡城（亀井城）

延岡城は、宮崎県延岡市本小路に位置する日本の城です。かつては縣城（あがたじょう）と呼ばれていましたが、別名として亀井城（かめいじょう）の名でも知られています。

概要

江戸時代初期に高橋元種によって築かれた平山城であり、築城当初は縣城と称されましたが、後に延岡城へと改称されました。延岡藩の政庁として、また臼杵郡地域の拠点として重要な役割を果たしました。この地は古代より土持氏が支配しており、延岡城も高橋元種による築城以前に土持氏の城館を改修・増築したものである可能性が指摘されています。

延岡城には、仕掛けがほどこされた石垣があり、その石を外すと城が一気に崩壊し、千人もの敵兵を一度に討ち取ることができるという伝説があり、「千人殺し」と呼ばれています。

天主台跡には鐘付き堂が建てられ、現在も1日に6回、時を告げる鐘の音が市内に響き渡ります。歌人・若山牧水もこの鐘の音を歌に詠んでいます。

2017年4月6日には、続日本100名城（195番）に選定されました。

歴史

1601年（慶長6年）に高橋元種が築城を開始し、1603年（慶長8年）に完成しました。その後、明暦年間には有馬氏による改築が行われ、江戸時代を通じて縣藩（後の延岡藩）の政庁として機能しました。

しかし、高橋元種は1613年に罪人を匿った罪で改易され、その後は有馬氏、三浦氏、牧野氏と領主が変わり、最終的に内藤氏の支配下で幕末を迎えます。1655年（明暦元年）に有馬康純によって行われた改築の際に建設された天守代用の三階櫓は、1683年に焼失した後、再建されることはありませんでした。

1870年（明治3年）には、薬園としての活用を目的として新政府に願い出て許可され、廃城となりました。西ノ丸は内藤氏の私有地となりましたが、1881年（明治14年）に延岡市に寄贈され、「内藤記念館」として利用されました。しかし、1945年（昭和20年）の空襲によって焼失してしまいました。

平成29年には、福井県坂井市で延岡城の木図が発見され、坂井市に寄贈されました。

高橋元種時代

築城

1601年（慶長6年）に着工し、1603年（慶長8年）秋に完成しました。五ヶ瀬川と大瀬川に挟まれた中州と、中央に位置する独立丘陵（延岡山、現在の城山）を利用して築城されました。縄張りは神田壱岐守が担当しました。松尾城からの移徙の儀と神事能の奉納が行われました。

城は、本城と西の丸の2つの郭から構成され、五ヶ瀬川と大瀬川を天然の外堀とし、城山の周辺には内堀と石垣が築かれました。本城は、本丸、二の丸、三の丸の3つの区画に分かれています。

当時の記録や絵図には、他の城郭には見られない3層の建築物や複数の櫓などが描かれており、高橋元種時代の縣城を知る上で貴重な史料となっています。

城下町建設

高橋元種は、城下町「縣（延岡）」の創設者でもあり、現在の延岡の町の原型を築きました。侍屋敷として、本小路、北小路、桜小路、天神小路を整備し、城の東側には南町、中町、北町の城下町を整備し、全国から商人たちを招きました。

1578年（天正6年）の豊後大友氏による土持氏攻めの際に焼き払われた神社仏閣の再興や創建も行われました。

誓敬寺（北町）
妙専寺：浄土真宗の寺院。祐真を招き、元種の母の菩提寺として開基。母「妙専」尼の法号に由来。臼杵郡地域の総本山として、高千穂地方教化の中心となりました。
光勝寺：再建。
西林寺：台雲寺の前身。
古川薬師：松尾城落城時に大友軍によって焼かれた松尾山長福寺を再興して東大寺と改称。
愛宕神社：延岡山の頂上にあったものを縣城築城にあたり笠沙山に移し「愛宕山」と呼ぶようになったと伝わる。
* 行縢神社の「鉄鰐口」：高橋元種の娘（おかね）が行縢神社に寄進。

有馬康純時代

有馬康純の統治下で、今日の縣・延岡城下町の原型が完成しました。1652年（承応元年）から縣城の修復に着手し、1655年（明暦元年）に完成しました。

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