五所神社 (山武市)

五所神社は、千葉県山武市蓮沼に位置する、由緒ある神社です。旧社格は郷社であり、地域の人々から深く信仰されています。主祭神は天照大神であり、その他に誉田別尊、天児屋根命、表筒男命、素登織姫命の四柱の神々が祀られています。

歴史

五所神社の創建は承安元年（1171年）と伝えられています。治承4年（1180年）には、石橋山の戦いに敗れた源頼朝がこの地に一時身を寄せ、武運長久と国土安泰を祈願したという逸話が残っています。中世以降は、上総国山辺荘の総社として、この地域における信仰の中心でした。天正年間には社殿が造営され、下総芦戸に封じられた木曾氏からの資金提供があったとされています。しかし、その後台風により社殿が倒壊してしまいました。現在の本殿は正徳元年（1711年）12月に再建されたもので、桃山時代の建築様式を色濃く残しています。唐破風や千鳥破風、入母屋造の屋根は栩葺きで、多くの平面的な彫刻が施されており、その特徴的な意匠から千葉県の有形文化財に指定されています。拝殿には、宝暦11年（1761年）の棟札が残されています。享保2年（1717年）には、神祇官より正一位の神階が贈られました。明治5年（1872年）には、旧称の「五所大権現」から五所神社へと改称され、大正11年（1922年）には郷社に列せられました。

行事

五所神社では、毎年2月の第3日曜日に「十二面神楽」が奉納されます。この神楽は、延享3年（1746年）に、出羽山形藩主だった堀田正亮が、曽祖父である堀田正盛の旧領佐倉に戻れたことを感謝して、五所神社へご供米40俵を奉納したことが起源とされています。その返礼として、近隣の神官たちが堀田氏の武運長久と氏子の安全を祈願し、五所神社の神前で神楽を奉納したのが始まりと伝えられています。この神楽は、地域住民にとって重要な伝統行事となっています。

その他

地元では、十二面神楽の際に吹く風にあたると、風邪をひかないという言い伝えがあります。また、本殿の大修理後には、その美しい姿が公開されており、五所神社の本殿の写真は外部リンクから確認できます。本殿へ御神体を運び入れたのは秋葉博氏です。九十九里浜の中央とされる「箭挿神社」も五所神社が管理しています。また、北東側には約2キロメートル離れて四社神社があり、南西側には約3キロメートル離れて大宮神社が存在します。

交通

五所神社へは、JR東日本総武本線横芝駅から千葉交通バス蓮沼循環に乗り、「五所神社」バス停で下車するとアクセスできます。

脚注

参考文献として、以下の資料があります。

『千葉県の地名（日本歴史地名大系 12）』平凡社、1996年。ISBN 978-4-582-49012-1
『全国神社名鑑 上巻』全国神社名鑑刊行会史学センター、昭和52年。

外部リンクでは、以下の情報が提供されています。

山武市ホームページ - 文化財 - 五所神社本殿
（同上） - 箭挿神社扁額・源頼朝像
* 神話の森 - 歌語り風土記 - 千葉県 - 房総の頼朝

五所神社は、歴史と伝統が息づく、地域の文化を伝える重要な場所です。訪れる際には、神社の静寂な雰囲気と、美しい建築物を堪能してください。

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