井上広居

井上広居：秋田の発展に貢献した政治家

井上広居（いのうえ ひろやす、1864年11月3日 - 1956年6月5日）は、明治時代から昭和時代にかけて活躍した日本の政治家です。彼は衆議院議員（立憲国民党→立憲同志会→憲政会）や秋田市長（第6代）を歴任し、秋田県の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと初期の活動

井上広居は、元治元年（1864年）に久保田藩士である小貫久之進の二男として生まれました。その後、井上福治の養子となり、井上家を継ぎました。幼少期には漢学を学び、その後上京して東京専門学校（現在の早稲田大学）に進学。1886年（明治19年）に卒業後、秋田魁新報社に入社し、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。彼はその才能を発揮し、やがて主筆、さらには社長へと昇進しました。

政治家としての歩み

1892年（明治25年）、井上広居は秋田市会議員に初当選し、政治の世界に足を踏み入れました。その後、市参事会員、市会議長といった要職を歴任。また、県会議員、県参事会員、県会議長も務め、地方自治の発展に尽力しました。

1912年（明治45年）には、第11回衆議院議員総選挙に出馬し、見事当選。国政の舞台へと進出しました。1915年（大正4年）の第12回衆議院議員総選挙でも再選を果たし、衆議院議員として活躍しました。

秋田市長としての功績

1916年（大正5年）、井上広居は秋田市長に選出され、1932年（昭和7年）までの長きにわたりその職を務めました。市長在任中は、教育施設の充実、商業学校の設立、上下水道の整備、産業振興など、幅広い分野で成果を上げました。彼のリーダーシップのもと、秋田市は大きく発展を遂げました。

その他の活動と晩年

市長退任後の1936年（昭和11年）からは、県教育会長を務め、秋田県の教育の発展に貢献しました。しかし、戦後、秋田魁新報社長であったことが理由で、公職追放の対象となりました。

井上広居は、地方自治の発展と教育・産業の振興に尽力した政治家として、その功績は今もなお語り継がれています。

参考文献

帝国地方行政学会 編『自治制発布五十周年記念帖』帝国地方行政学会、1938年。
細井肇『現代日本の政治家』國光社、1916年。
人事興信所 編『人事興信録』（8版）人事興信所、1928年。
日外アソシエーツ 編『政治家人名事典 明治～昭和』（新訂）日外アソシエーツ、2003年10月。ISBN 4-8169-1805-1。
* 秋田県総務部秘書広報課 編「廉潔偉大な市長　井上広居」『秋田の先覚』 4巻、秋田県、1970年、97-111頁。

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