京包線

京包線：中国初の本格的鉄道路線

京包線は、中華人民共和国の首都である北京市と、内モンゴル自治区の主要都市である包頭市を結ぶ、全長842kmに及ぶ重要な鉄道路線です。この路線は、中国人自身の手によって建設された最初の本格的な鉄道路線としても知られており、その建設過程は多くの困難と技術的な挑戦を伴いました。

建設の背景

清朝政府は、北京から張家口を結ぶ鉄道の建設を計画しましたが、この路線が戦略的に重要であったため、イギリスとロシアが鉄道敷設権を主張し、清国による建設に反対しました。しかし、自国の鉄道技師による予備調査の結果、北京北郊の山岳地帯での敷設が困難と判断され、両国は撤退しました。これにより、清国は自国資本での建設を決定し、主任設計士に詹天佑（せんてんゆう）を任命し、建設を開始しました。

詹天佑は、複数の候補ルートの中から、最も低予算で建設可能なルートを選択しました。1905年に工事が開始され、4年後の1909年8月11日に張家口 - 豊台間が開通しました。この路線は、当初の計画よりも2年早く完成し、建設費も35万両（テール）節約できたとされています。

技術的な課題と迂回

京包線は、北京から北西方向への重要な路線でしたが、建設費の削減を優先したため、燕山山脈付近には33.7‰という急勾配や青龍橋駅のスイッチバックなど、運行上の隘路が存在しました。マレー式機関車を導入するなどの対策が講じられましたが、根本的な解決には至りませんでした。

これらの問題を解決するため、1952年から新たに豊沙線が建設され、沙城 - 豊台間は裏街道的な存在となりました。また、青龍橋の次駅である八達嶺は、万里の長城の八達嶺長城への最寄駅としても知られています。

歴史

1905年：工事開始
1909年8月11日：張家口 - 豊台間完成
1909年10月2日：開業
1921年5月1日：張家口 - 帰綏（現：フフホト）間延伸開業。平綏線と改称
1923年：帰綏 - 沼潭（現：包頭）間延伸開業。京包線と改称
1956年：張家口駅を経由しないショートカット路線として、張家口南駅（現：張家口駅）が開業
1958年：広安門 - 西直門（現：北京北）間（9km）廃止
2008年8月6日：北京北駅 - 延慶間で北京市郊外鉄道S2線が開業

接続路線

京包線は、以下の路線と接続しています。

沙河駅：北京北西環状線
昌平駅：京通線
康庄駅：康延支線
沙城駅：豊沙線、沙蔚線
大同駅：同蒲線、大秦線、雲崗支線
集寧南駅：集通線、集二線、集張線
包頭東駅：包石線
包頭駅：包蘭線、包神線、包西線、包白線

主要駅

北京北駅
沙城駅
宣化駅
張家口駅
大同駅
集寧南駅
フフホト駅
包頭東駅
包頭駅

関連項目

華北交通

京包線は、中国の鉄道史において重要な位置を占める路線であり、その建設における技術的な挑戦と歴史的な背景は、今日においても多くの人々に語り継がれています。

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