人間発見

人間発見（にんげんはっけん）

「人間発見」は、日本経済新聞社の夕刊紙面で長く読者に親しまれた連載読み物のタイトルです。

概要

この連載は、その時代において特に注目されている経営者や、各界で活躍する著名人に焦点を当て、彼らの内面に深く迫ることを目的としていました。単に業績や功績を紹介するだけでなく、彼らが人生において大切にしてきた哲学や信条、そして今日に至るまでの波乱に満ちた半生を、丁寧なインタビューを通じて描き出しました。読者は、成功の裏にある苦悩や決断、人間的な魅力といった側面に触れることで、彼らの「人間」そのものを感じ取ることができたのです。多様な分野から選ばれた人物の言葉は、多くの読者にとって、自身の生き方や働き方を見つめ直す貴重な機会を提供しました。

テレビ番組化

「人間発見」は、新聞紙面での連載に留まらず、映像化もされました。2001年から2003年にかけて、テレビ東京系列で『テレビ・人間発見』というタイトルで放送されたのです。この番組は、新聞連載の内容を原作としており、活字の世界で描かれた人物像を、より臨場感のある映像と音声で伝えることを目指しました。放送は不定期ながら、主に土曜日の午前11時から11時30分という時間帯に行われ、多くの視聴者が、テレビを通して「人間発見」の世界に触れる機会を得ました。

取り上げられた人物例

テレビ番組『テレビ・人間発見』で取り上げられた方々の一部を以下に紹介します。経済界、文化、スポーツなど、実に幅広い分野から人物が選ばれていました。

「ゴルフに生きて70年」～林由郎（プロゴルファー）
「いい仕事してますね」～中島誠之助（鑑定士）
「料理の詩人!」～道場六三郎（料理人）
「和太鼓に生命を吹き込む」～林英哲（和太鼓奏者）
「都市再生に情熱を注ぐ」～森稔（森ビル創業者）
「人生はチャレンジ」～増田宗昭（CCC創業者）
「アートは遊園地」～山本容子（版画家）
「73歳の矜持」～青木定雄（エムケイ創業者）
「ロマンティックウェディング」～桂由美（ブライダルデザイナー）
「西洋アンティークに捧げた人生」～岩崎紘昌（西洋アンティーク評論家）
「世に定め人に芸」～中村吉右衛門（歌舞伎役者）
「音楽といっしょに」～森山良子（歌手）
「時代を創る子供たちへ」～富山幹太郎（タカラ社長）
「ヴァイオリンと翔る」～諏訪内晶子（ヴァイオリニスト）
「母の国に暮らして」～ヘンリ・ミトワ（作家）
「右手にソロバン・左手に人情」～冨永照子（スーパー経営者）
「アマチュア棋士一筋」～菊池康郎（囲碁棋士）
「走る!」～宗茂（マラソンランナー）
「里山を撮る」～今森光彦（写真家）
「負けられへん」～コシノヒロコ（ファッションデザイナー）
「“妖怪人間”水木サンの世界」～水木しげる（漫画家）
「ワインブームの仕掛人」～鈴木忠雄（ワイン事業家）
「キャプテンが行く」～川淵三郎（サッカー関係者）
「谷根千・東京スローライフ」～森まゆみ（作家）

これらの顔ぶれからも分かる通り、「人間発見」は、それぞれの道を極めた人々の息吹を伝え、読者に深い共感や発見をもたらす連載として、多くの支持を集めました。日本経済新聞には、「私の履歴書」や「交遊抄」といった、人物に焦点を当てた他の著名な連載もあり、「人間発見」もまた、そうした日経新聞の豊かな読み物文化の一翼を担っていたと言えるでしょう。竹林紀雄氏もこの連載に関わっていたことが知られています。

「人間発見」は、単なるニュースや経済情報に留まらず、その根底にある「人間」の物語を追求することで、日々の新聞に深みと彩りを与えていました。

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