今城 (えびの市)

今城（いまじょう）

今城は、宮崎県えびの市大河平にあった山城です。真幸院の領主であった北原氏に従属していた大河平氏の居城として知られています。当初、大河平氏は大河平城を居城としていましたが、その防御上の弱点から、より堅固な城を築く必要に迫られました。

築城の背景

大河平城は、地理的に防御が難しい場所に位置していました。そこで、北原氏没落後、大河平氏は島津義弘と誼を通じて、新たな城の築城を命じられます。その結果、永禄5年（1562年）頃に、大河平城と谷を挟んだ向かいの険しい丘陵地に築かれたのが今城です。

城の構造

今城は、標高377メートルから386メートルの2つの尾根にまたがって立地しています。比高は約100メートルで、三方を絶壁と急斜面に囲まれた天然の要害です。城の主要部分は、以下の構造で構成されています。

主郭：東側に位置し、南北約70メートルにわたって伸びています。
帯郭：主郭の西側斜面に3つ配置されています。
西側の郭：西側の頭頂部に2つ設けられています。
D字型の郭：西側郭の北端下部に位置しています。
堀と土橋：北方には、今城の深谷を挟んで西にある永野城へと通じる堀と土橋があります。この深谷の下には、川内川の源流である狗留孫川が流れています。

特筆すべき点として、今城には土塁の跡が一切見られません。これは、天然の地形を最大限に利用した結果と考えられます。

落城

永禄7年（1564年）5月29日、伊東義祐率いる1,000余の軍勢が今城を攻撃しました。当時の今城は、わずか130余名で守られていましたが、その堅固な地形から伊東軍は容易に攻め入ることができませんでした。そこで、伊東軍は城主の大河平隆次に降伏を勧告しますが、隆次はこれを拒否し、徹底抗戦の構えを見せました。

伊東義祐は、今城の隣にある永野城を落とし、捕らえた城兵から今城の北側が最も攻めやすいことを知ります。そして、堀を埋め立てながら城を攻撃しました。これにより、大河平隆次はやむなく城から打って出て、伊東勢500余名を討ち取るものの、最終的には城兵全員が討ち死にを遂げ、今城は落城しました。

その後

大河平氏は、隆次の姉婿である皆越六郎左衛門（後の大河平隆俊）によって再興されました。今城は落城したものの、その堅固な構造は、当時の戦国時代の城郭技術を物語る貴重な遺跡として、現在もその姿を留めています。

参考文献

『えびの市史　上巻』：えびの市郷土史編さん委員会
『えびの市の城館跡』：宮崎県えびの市教育委員会

関連項目

日本の城一覧
大河平氏
北原氏
伊東義祐
飯野城

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