仮性結核

仮性結核（Pseudotuberculosis）

仮性結核は、仮性結核菌（エルシニア・シュードツベルクローシス、Yersinia pseudotuberculosis）によって引き起こされる感染症です。この菌はグラム陰性の通性嫌気性桿菌であり、さまざまな動物に感染することが知られています。具体的には、ヒトだけでなく、ブタやイヌ、ネコ、タヌキ、ネズミ、サル、シカ、イノシシ、ウサギなどが感染持続性を持つことが報告されています。また、仮性結核菌は低温での生息を好む特性があります。

症状

人間における仮性結核の症状は多岐にわたります。主な症状としては、胃腸炎に伴う腹痛や下痢、発熱、発疹、紅斑、咽頭炎などが見られます。特に注意が必要なのは、これらの症状が重症化する場合があることで、約10%の患者が川崎病の診断基準に該当することが知られています。

川崎病とは、子供に多く見られる病気で、眼球結膜充血や苺舌、リンパ節腫脹を伴います。それに加えて、冠動脈に病変が生じることもあり、心血管系に影響を及ぼす可能性があります。さらに、仮性結核は急性間質性腎炎を引き起こすこともあり、これによって急性腎不全に至るケースが約10%存在します。このような場合には、支持療法が重要となります。

治療

治療においては、仮性結核菌がマクロライド系以外の抗菌薬に対して高い感受性を示すため、これらの薬剤を使用することが効果的です。他の治療法や病態に応じたアプローチが求められることもありますが、早期発見と適切な治療が重症化を防ぐ鍵となります。

関連項目

仮性結核の他にも、関連する疾患として「エルシニア・エンテロコリティカ感染症」があります。また、「レッドマウス病」という、エルシニア・ルッケリによる魚類の感染症も存在します。この病気は主にサケ科の魚に見られ、口の周りに発赤や点状出血を引き起こします。加えて、スーパー抗原に関連する情報も重要であり、YMP（Yersinia superantigen）についても研究が進んでいます。泉熱（Q Fever）とも一部関連があります。

参考文献

この情報の出典として、獣医公衆衛生学の専門書『獣医公衆衛生学第3版』（編著：高島郁夫、熊谷進、文永堂出版、2004年）があります。

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