伊号第二十五潜水艦

伊号第二十五潜水艦（いごうだいにじゅうごせんすいかん）は、大日本帝国海軍の巡潜乙型（伊十五型[[潜水艦]]）に属する潜水艦であり、その6番艦として建造されました。特筆すべきは、アメリカ本土に対して複数回の偵察機による爆撃を行っただけでなく、米英戦争以来となるアメリカ本土の軍事施設への艦砲射撃を行ったことで、歴史に名を刻んでいます。

艦歴

1939年2月3日、三菱重工業神戸造船所にて起工され、1940年6月8日に進水しました。1941年4月28日には田上明次中佐が艤装員長として着任し、同年10月15日に竣工。同時に田上中佐が艦長に就任し、横須賀鎮守府籍となりました。同月31日には、伊24とともに第六艦隊第1潜水戦隊第4潜水隊を編成。この部隊は、先代の第4潜水隊が1940年に解隊されて以来、3代目となります。11月7日には、零式小型水上偵察機を搭載し、航空機搭乗員として藤田信雄飛行兵曹長、偵察員として奥田省三飛行兵曹が乗り組みました。

真珠湾攻撃と通商破壊作戦

太平洋戦争開戦時、伊25は第六艦隊第1潜水戦隊第4潜水隊に所属していました。1941年11月21日に横須賀を出港し、12月5日にはオアフ島北西沖で米哨戒機を発見し潜航。真珠湾攻撃時には、オアフ島北東沖で哨戒を行い、真珠湾方向からの爆発音を聴取しました。9日夜には、浮上充電中に伊6がレキシントン級空母などを発見したため、迎撃に向かいました。10日には、米哨戒機の攻撃を受けましたが回避。11日には、荒天により司令塔の窓ガラスが破損し、負傷者を出す事態となりました。14日からは、アメリカ西海岸沿岸での通商破壊作戦に参加し、コロンビア川河口沖を哨戒しました。18日には、タンカーを発見し攻撃を試みましたが、実際には命中しませんでした。19日には、格納筒への浸水が発覚し、修理を余儀なくされました。その後、ロサンゼルスとサンフランシスコ間の海域に移動しました。

1942年1月1日には、伊3が発見した米機動部隊の迎撃に向かい、8日にはジョンス[[トン島]]南西沖で空母を発見し攻撃。しかし、戦果確認はできず、後に水上機母艦ラングレーと誤認されました。11日にはクェゼリンに到着しましたが、格納筒扉の事故により乗員に死傷者が出ました。2月1日には、クェゼリンが空襲を受けましたが、伊25に被害はありませんでした。

オーストラリア偵察

2月8日にはクェゼリンを出港し、オーストラリア方面に向かいました。17日にはシドニーの航空偵察を行い、23隻の艦船の在泊を報告。26日にはメルボルンを、3月1日にはホバートを偵察しました。その後、ウェリン[[トン]]、オークランド、スバなどを偵察し、各地の状況を報告しました。3月8日には、輸送船を攻撃し、撃沈したと判断しましたが、詳細な戦果は不明です。12日には哨戒艇に発見され追跡されましたが、振り切ることに成功しました。

3月30日にはトラックに到着し、4月4日には横須賀に帰投しました。

アメリカ本土砲撃

5月11日、伊25はAL作戦に参加し横須賀を出港。5月27日には、ダッチハーバーを偵察する予定でしたが、米巡洋艦の接近により断念しました。しかし、偵察は成功し、巡洋艦、駆逐艦、輸送船の在泊を確認しました。6月2日には、シアトル沖に到着。5日には、12,000トン級輸送船を攻撃しましたが、命中しませんでした。6月21日には、英貨物船を雷撃し撃破しました。

6月22日には、オレゴン州アストリア市郊外のフォート・スティーブンス陸軍基地を誤認し、後部主砲で砲撃を行いました。この砲撃は、米英戦争以来のアメリカ本土への攻撃となり、歴史的な出来事となりました。基地には損害はなかったものの、アメリカ軍はパニックに陥りました。また、この攻撃は、アメリカ本土が外国軍によって攻撃された最後の事例となっています。

その後、訓練飛行中の航空機に発見され、ハドソン攻撃機の攻撃を受けましたが、伊25に損傷はありませんでした。6月27日にはダッチハーバー南方沖に到達し哨戒。7月17日には横須賀に帰投しました。

アメリカ本土空襲

9月には、伊25は搭載機により、オレゴン州の山林に焼夷弾を投下しました。これは、ドーリットル空襲に対する報復として行われたものでした。9月9日には、焼夷弾を投下し、火災の発生を確認しましたが、前夜の雨により大火事にはなりませんでした。10日には、米軍のハドソンに発見され爆撃を受けました。9月29日には、2度目の焼夷弾投下を実施しましたが、3度目は中止となりました。

この攻撃は、アメリカ本土が飛行機によって爆撃された唯一の事例です。

通商破壊戦

10月4日には、漂流中の米タンカーを攻撃し、撃沈しました。その後、別のタンカーを雷撃しましたが、命中しませんでした。6日には、タンカーを雷撃し、撃沈に成功しましたが、その爆発により伊25にも被害がありました。7日には、救助活動中の米雑役艦を発見。10日には、哨戒区域を離れました。

ソ連の潜水艦を誤認攻撃

10月11日には、サンフランシスコに向かうソ連の潜水艦L-16を誤認し、魚雷攻撃により撃沈してしまいました。この事件は、日ソ中立条約を締結していた両国間において、国際法違反ではないものの、悲劇的な出来事となりました。

10月24日には横須賀に帰投しました。

輸送任務

12月1日には、横須賀を出港しトラックに移動しました。その後、ショートランド、ガダルカナル島、ラバウル、ブナなどを経由し、輸送任務に従事しました。1943年1月8日には、貨物船日龍丸の生存者を救助しました。1月9日には、米潜水艦グランパスからの雷撃を受けましたが、回避に成功しました。その後も輸送任務を継続し、1月17日にはトラックに戻りました。

1月23日には、トラックを出港しガダルカナル島南東沖に進出。1月29日にはレンネル島沖海戦を目撃し、空襲の支援に向かいましたが失敗。1月30日には、米重巡洋艦シカゴの迎撃を試みましたが、シカゴは空襲で撃沈されました。その後、米駆逐艦に発見され爆雷攻撃を受けましたが、被害はありませんでした。2月17日にはエスピリトゥサント島を飛行偵察し、2月24日にはトラックに到着しました。

3月29日にはトラックを出港し、フィジー諸島方面へ向かいました。5月18日には米タンカーを撃沈。6月2日にはトラックに到着しました。7月15日には艦長が交代しました。

沈没

1943年7月25日、伊25はトラックを出港し、エスピリトゥサント島へ向かいましたが、同日、米駆逐艦パターソンによって撃沈され、乗員全員が戦死しました。沈没地点はバヌアツのヒウ島沖です。

伊25は、4隻の艦船を撃沈し、1隻に損傷を与えたとされています。

歴代艦長

艤装員長
田上明次少佐：1941年4月28日 - 1941年 10月15日
艦長
田上明次少佐：1941年 10月15日 -
* 小比賀勝中佐：1943年7月15日 - 1943年8月25日戦死

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