伊号第四十七潜水艦

伊号第四十七潜水艦（伊47）は、日本海軍が建造した潜水艦です。伊16型潜水艦（巡潜丙型）の7番艦として、佐世保海軍工廠で建造されました。本艦は、太平洋戦争中に人間魚雷「回天」を搭載し、数々の作戦に参加したことで知られています。

艦歴

建造から訓練

1941年（昭和16年）のマル急計画に基づき、1942年（昭和17年）11月21日に起工されました。1943年（昭和18年）7月31日に艦艇類別等級別表に加えられ、9月29日に進水。1944年（昭和19年）7月10日に竣工し、初代潜水艦長には折田善次少佐が任命されました。

竣工後、横須賀鎮守府籍となり、第六艦隊隷下の第11潜水戦隊に編入され、約2ヶ月の訓練を実施しました。訓練期間中には、山口県北部の油谷湾で新型装備の実験と訓練に参加し、駆逐艦「初月」や「雪風」と連携して対潜訓練も行いました。

第15潜水隊

1944年 10月8日、伊47は第15潜水隊に編入されました。同隊は第一潜水部隊を編成しており、伊47は主力潜水艦として活動を開始します。10月中旬、連合艦隊は捷一号作戦を発令し、伊47を含む潜水艦に出撃準備を命じます。しかし、整備中の伊47は作戦に間に合わず、回天特別攻撃隊「玄作戦」に投入されることになりました。

第一次玄作戦（菊水隊）

伊47は回天を搭載する特殊工事を受け、大津島へ移動しました。11月5日、豊田副武連合艦隊司令長官より作戦命令を受領し、回天特別攻撃隊（菊水隊）の一員として、伊36、伊37と共にウルシー環礁攻撃に向かいます。

11月8日、菊水隊は大津島を出港。伊47の艦橋側面には菊水マークが描かれ、艦には「非理法権天」「南無八幡大菩薩」の幟が掲げられました。四国佐田岬沖で散開後、各艦はウルシー環礁を目指しました。11月20日、伊47はウルシー付近で浮上し、回天搭乗員を送り込みます。その後、潜航し、発進地点に到着。回天4基を発進させました。

発進後、伊47は避退を開始。その際、艦尾方向に大きな爆発を確認しました。これは、回天がサンゴ礁に座礁し自爆したものでした。その後、米給油艦「ミシシネワ」への攻撃に成功し撃沈しました。菊水隊の戦果は、正規空母2隻・戦艦3隻撃沈と認定されましたが、実際には空母や戦艦への戦果は確認されていません。

第二次玄作戦（金剛隊）

第一次玄作戦後、日本海軍は第二次作戦を実施することになりました。12月19日、第二次玄作戦（金剛隊）の編成が下令され、伊47はニューギニア島北部のホーランディア攻撃を命じられました。

12月25日、伊47は大津島を出撃し、12月30日にはグアム島西方で漂流していた海軍関係者8名を救助しました。1945年（昭和20年）1月12日、ホーランディア付近で回天を発進させ、米輸送船「ポンタス・H・ロス」を攻撃しましたが、軽微な損傷を与えるに留まりました。金剛隊の戦果認定は大型輸送船4隻撃沈でしたが、これも実際には確認されていませんでした。

沖縄方面作戦

玄作戦後も伊47は第15潜水隊に所属し、内海西部で回天戦の準備を続けました。1945年3月28日、沖縄方面に出撃しましたが、米艦載機の攻撃を受け損傷、帰投を余儀なくされました。その後、修理を終えた伊47は、回天特別攻撃隊・天武隊の一員として再び出撃します。

4月27日、通常魚雷攻撃により艦種不明2隻の撃沈を報告。5月1日には輸送船団を発見し魚雷を発射、3つの爆発音を聴取しました。その後、回天を発進させ、大型駆逐艦や輸送船の撃沈を記録しました。5月7日には英軽巡洋艦を攻撃、特設航空母艦もしくは巡洋艦1隻撃沈を記録しましたが、戦後の調査では該当する戦果は確認されませんでした。

5月12日、伊47は光に到着。回天と搭乗員、整備員を降ろした後、呉に帰投しました。5月1日から7日までの作戦で、伊47は回天戦と通常魚雷により、輸送船1、巡洋艦1、駆逐艦2、艦種不明2隻、計6隻の撃沈を報告しました。

7月、伊47は再び出撃準備に入り、回天特別攻撃隊多聞隊の一員として沖縄～ルソン島～パラオ方面へ向かいました。しかし、台風の影響で回天を流失させるなどの被害を受け、8月11日に内海西部に帰投しました。

終戦とその後

1945年8月15日、終戦を迎えました。伊47は1945年 11月30日に除籍され、1946年 4月1日、五島列島沖でアメリカ海軍の実艦標的として海没処分されました。竣工から沈没まで、約1年8ヶ月の艦歴でした。撃破総数は2隻（回天戦によりタンカー1隻を撃沈、輸送船1隻に損傷）と記録されています。

2017年9月、ラ・プロンジェ深海工学会により五島列島沖での沈没地点が特定されました。現在、伊47は海底に対しほぼ垂直に艦尾が突き刺さった状態で沈んでいます。

歴代艦長

艤装員長

折田善次少佐：1944年4月15日 -

潜水艦長

折田善次少佐：1944年 7月10日 -
鈴木正吉少佐：1945年4月25日 -

参考文献

勝目純也『日本海軍潜水艦百物語　ホランド型から潜高小型まで水中兵器アンソロジー』潮書房光人社、2018年
佐藤和正『艦長たちの太平洋戦争 34人の艦長が語った勇者の条件』光人社、1993年
重本俊一『回天発進　わが出発は遂に訪れず』光人社、1989年
重本俊一「第五章 ―「回天」誕生」『落日の日本艦隊　体験的連合艦隊始末記』潮書房光人社、2014年
外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年
福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年
防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書沖縄方面海軍作戦』第17巻、朝雲新聞社、1968年
宮本雅史『海の特攻「回天」』角川学芸出版、2011年
渡辺博史『海軍艦船要覧艦艇・特務艦艇・特設艦船・その他』ブックショップマイタウン、2013年

伊号第四十七潜水艦