伊東祐豊 (主膳正)

伊東祐豊（いとう すけとよ）

伊東祐豊は、慶長17年（1612年）に生まれ、寛文8年（1668年）に没した江戸時代初期の旗本です。幼名を熊太郎といい、後に従五位下主膳正の官位を授けられました。伊東氏は日向国飫肥藩主家の分家にあたり、祐豊は分家である旗本伊東家の初代となります。禄高は蔵米2000俵に加え、日向国内に3000石を領していました。

生涯

祐豊は、伊東祐慶の次男として生まれました。異母兄には伊東祐久がいます。また、祖母の阿虎の方（伊東義益の娘）は、江戸幕府大奥の大上臈である按察使局の従姉妹にあたります。元和9年（1623年）には二条城で将軍徳川秀忠に初めて謁見しました。

寛永3年（1626年）には徳川家光に仕え、家光の上洛にも随行しました。寛永6年（1629年）には小姓となり、蔵米2000俵を与えられ、同年12月には従五位下主膳正に叙任され、諸大夫となりました。寛永9年（1632年）には家光の日光山参詣に供奉しています。

また、寛永4年（1627年）から実家の飫肥藩と薩摩藩との間で発生していた境界論争では、寛永10年（1633年）に幕府の巡検使が現地を視察し、飫肥藩の主張を支持しました。しかし、薩摩藩は一部の境界について納得せず、論争は継続されました。

寛永11年（1634年）には再び家光の上洛に随行し、寛永13年（1636年）に父が死去すると、兄の祐久から南方村2000石、松永村1000石の合計3000石を分知されました。蔵米2000俵については、幕府に返還された記録はないとされています。同年、書院番士となり、後に中奥に勤務しました。慶安元年（1648年）には、徳川家康三十三回忌のため日光山に赴いています。

慶安4年（1651年）に辞職し、小普請となりました。同年に将軍家光が亡くなっています。

寛文8年（1668年）に57歳で死去し、墓所は麻布の春桃院にあります。この春桃院は、後に伊東家代々の葬地となりました。家督は四男の祐賢が継ぎました。

人物

祐豊は、徳川家光の側近として、小姓などを務めました。また、最初の正室は保科正之の義妹にあたるなど、徳川家とのつながりも深く、幕府内でも重要な役割を担っていたことが伺えます。

系譜

父：伊東祐慶
母：森本氏
正室：内藤政長の娘
継室：朝倉宣正の娘
継々室：三宅康盛の娘
側室：原氏
子女：4男9女
四男：伊東祐賢

参考文献

『新訂寛政重修諸家譜 第14』（続群書類従完成会、編集顧問、高柳光寿、岡山泰四、斎木一馬）
寛政重修諸家譜 巻八百九十二
寛政重修諸家譜 巻八百九十三
『都城市史　通史編　中世・近世』　（都城市史編さん委員会編、都城市、2005年）
* 『宮崎県の地名 日本歴史地名大系46』（平成9年（1997年）、平凡社）

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