伊香氏

伊香氏の概要

伊香氏（いかし）は、日本の歴史の中で連姓を持つ氏族として知られています。時代が進むにつれて、彼らは臣と朝臣に改姓したと考えられています。この氏族の起源や系図は、さまざまな文献に記録されており、特に『新撰姓氏録』には彼らが中臣氏と同族であることが明記されています。

系譜の起源

『新撰姓氏録』に記されるところによれば、伊香氏は「伊香連 大中臣同祖天児屋根命十世孫臣知人命之後」とされており、この記録から彼らが中臣氏と直接の関係にあることがうかがえます。また、『帝王編年紀』を引用した『近江国風土記』によると、伊賀津臣命が近江国に住んでいたと言われており、彼は余呉湖に舞い降りた天女との間に意美志留（臣知人命）、那志等美（梨迹臣命）、伊是理比咩、奈是理比売をもうけたとされています。これは有名な羽衣伝説の一部です。

勢力の拡大

伊香氏の影響力は、近江から越前国へと広がり、その地には彼らの部民・伊宜部が存在していました。672年の壬申の乱に際して、胆香瓦安倍が大海人皇子（後の天武天皇）に従い、大津京を脱出したことが伝えられています。伊香氏に関連する伝承として、天武天皇の白鳳年間には伊香宿禰豊厚が伊香具神社の社殿を建立したという物語があります。これにより、伊香氏は神社に深く関与し、彼らの系図には宿禰豊厚がメインの先祖とされているのです。

奈良時代と歌人

奈良時代には、伊香連田次麻呂の名が確認されており、家系の一端が明らかになっています。さらに『古今和歌集』には、伊香子淳行が詠んだ歌が収められており、彼は『古今集』編纂当時に生きていたと推測されています。彼の歌は、「思へども 身をしわけねば 目に見えぬ 心を君に たぐへてぞやる」と、情感豊かな表現が特徴です。

系図の詳細

『続群書類従』に収められた伊香氏系図によると、伊香宿禰豊厚は伊賀津臣命の子孫とされ、彼以降の系図は非常に多くの世代にわたります。豊厚の子孫には厚彦、厚持、厚行などが含まれ、その名字の連なりは実に長く続いています。系図には、厚重、厚正、厚光など様々な名前が見られ、最終的には天正年間の憑厚にまで至ります。このように、伊香氏の系譜は、血脈をたどることができる重要な資料となっています。

近世の言及

また、近世には伊香氏の末裔を名乗る大音豊義が登場し、彼は豊寿の子であり、文政年間には官位を与えられました。彼の生涯や業績は、伊香氏の名声が現在まで続いていることを示しています。豊義は多くの歴史文献に記載され、彼の名前により伊香氏の存在は近世にも息づいていたことがわかります。

このように、伊香氏は長い歴史の中で日本の氏族の一つとして重要な役割を果たしてきました。彼らの起源、文化、歴史は、今なお研究の対象となっており、その痕跡は今日の日本にも色濃く残っています。

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