佐ノ山部屋

佐ノ山部屋の歴史

佐ノ山部屋（さのやまべや）は、かつて存在した相撲部屋であり、数世代にわたって力士を育て上げる伝統を持っていました。この部屋の起源は、初代佐野山條助が幕内の宮城野丈助を指導したことに始まります。丈助は引退後、2代目としてこの部屋を継ぎ、多くの優れた力士を育成しました。彼の目下には、関脇の御所車今右エ門や宮城野錦之助といった著名な力士がいましたが、残念ながら丈助は早逝しました。

その後、3代目には栗谷川治良吉が就任し、部屋はさらなる発展を遂げるはずでしたが、運命は厳しかったのです。特に、出羽海部屋の幕内力士・鴻ヶ峰庄兵衞が文化元年（1806年）に襲名し、自らの部屋を興したものの、早くも文化10年（1815年）頃に死亡。このことで、所属力士は秀ノ山部屋に移籍することとなりました。

弘化3年（1846年）には、宮城野部屋の元幕下力士・総ヶ関荒五郎が新たに部屋を興しましたが、運が悪く、まだ弟子が大成する前に彼も亡くなり、結局所属力士たちは桐山部屋に移籍してしまいました。

また、桐山部屋にいた佐野山も安政6年（1859年）1月から二枚鑑札で襲名し、引退後には幕内の音羽山市平を育てました。しかし、明治33年（1900年）の彼の死後には、谷ノ川安藏が入幕を果たしたものの、結局桐山部屋に戻ることを余儀なくされました。

その後、高砂部屋の大関・朝汐太郎がこの部屋を引き継ぎ、彼に連れられてきた力士たち、特に大関になった朝嵐や幕内力士の朝見冨士らを育てました。大正9年（1920年）に朝汐太郎が亡くなると、朝見冨士などの力士は高砂部屋に移籍することになります。

次に、昭和4年（1929年）に朝響信親が引退し、10代目を襲名しましたが、昭和30年（1955年）に部屋を再興しました。しかし、さらに昭和35年（1960年）に親方が亡くなると、弟子たちは高砂部屋に引き取られ、部屋の運営は停滞してしまいました。

その後、11代目を襲名した高砂部屋の元小結・國登國生が、十両に昇進した栗家山恵三を連れて、昭和36年（1961年）に部屋を再興しました。しかし、栗家山は幕内に昇進するも、わずか3場所で陥落し、その後は幕下中位まで落ちました。昭和39年（1964年）1月限りで部屋は廃業となり、親方は高砂部屋に戻ることとなりました。

こうして佐ノ山部屋は、その長い歴史に幕を閉じることとなりました。多くの力士を輩出したこの部屋の物語は、相撲界における重要な一ページとなっているのです。

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