佐伯今毛人

佐伯今毛人の生涯と業績

佐伯今毛人（さえき の いまえみし）は、奈良時代に活動した著名な公卿であり、重要な建設事業に携わった政治家として知られています。彼の名は今蝦夷とも表記され、官位は正三位・参議にまで昇進しました。今毛人の生涯や彼が果たした役割について、詳しく見ていきましょう。

経歴のはじまり

今毛人は天平14年（742年）に聖武天皇が近江国甲賀郡紫香楽村に離宮を築く際、その造営に関与しました。紫香楽宮造営司主典として任命された彼は、離宮の建設において非常に重要な役割を果たしました。翌年、聖武天皇が東大寺の建立を発願すると、今毛人は領催検に任じられ、人民を動員しての建設作業の管理と検閲を担当しました。彼は非常に巧妙な方法で作業に従事させ、強力なリーダーシップを発揮しました。

聖武朝の末期には大和少掾として活躍し、さらには造東大寺次官に就任。顕著な仕事を通じて、彼は天皇の信任を受け特別な扱いを受けるようになりました。

昇進と功績

天平20年（748年）には、従七位上から正六位上への大幅な昇進を果たし、天平勝宝元年（749年）に従五位下・大和介に叙任されました。この間、彼は東大寺次官としてもその地位を維持しつつ、さらなる昇進を遂げました。天平勝宝2年（750年）には正五位上に叙せられ、東大寺の長官としても名を轟かせました。

孝謙天皇在位中の彼は、春宮大夫や右京大夫などの高位を歴任し、天平宝字元年（757年）には従四位下に昇進しました。彼の活動の一環として、230巻の経典を造東大寺司から興福寺へと受け渡す際、関連書類も現存しており、今毛人の功績が証明されています。

政治的陰謀と困難

淳仁朝にかかると、今毛人は天平宝字3年（759年）に摂津大夫に任命されその後も造東大寺の長官として勤務しました。しかし天平宝字7年（763年）には、当時の権力者であった藤原仲麻呂の暗殺計画が発覚し、彼は密告により捕縛されることとなります。この事件で単独での犯行を主張した宿奈麻呂が罪を被ったため、今毛人は断罪を免れましたが、翌年には左遷されて九州の監督などに回されました。

官職復帰とさらなる発展

彼が再び出世の道を歩むのは天平神護元年（765年）で、元々藤原仲麻呂派の人物であった佐伯毛人の後任として復権を果たします。筑前国での築城事業を受け継ぎ、神護景雲元年（767年）には左大弁兼造西大寺長官にまで上り詰めました。

その後も光仁天皇の治世では、引き続き重要な官職についており、宝亀元年（770年）は兼播磨守として活動しました。彼の業績は、内政や外交の面でも際立っており、遣唐大使としても任命されたことがあります。

最後の年

宝亀6年（775年）には第16次の遣唐大使に選任されますが、出発前に病にかかるなど、不幸な事態もありました。病にもかかわらず、今毛人は九州地方に赴任しましたが、この一連の出来事が彼の政治生活の終焉へとつながります。最後の官位は散位正三位であり、延暦9年（790年）に72歳でこの世を去りました。

逸話と祭事

彼にまつわる逸話として、宝亀11年（780年）には、志賀島の男女による衣装製作が挙げられます。これらの衣装は90年以上もの間使われ続けたことから、彼の影響力を物語っています。

佐伯今毛人は、その政治的手腕と建設業務における貢献により、今もなお奈良時代の重要な公卿として語り継がれています。

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