佐竹義篤 (十六代当主)

佐竹義篤（さたけ よしあつ）

佐竹義篤は、室町時代後期から戦国時代にかけての武将で、常陸国（現在の茨城県）の戦国大名である佐竹氏の第16代当主です。永正4年（1507年）に、佐竹氏第15代当主・佐竹義舜の次男として生まれました。

家督相続と内紛

兄の今宮永義が庶子であったため、義篤が嫡男として扱われました。永正14年（1517年）、父・義舜の死により幼くして佐竹氏の家督を継ぎましたが、まだ若く、家中をまとめきることができませんでした。そのため、弟の佐竹義元との間に不和が生じ、享禄2年（1529年）には義元が反乱を起こす事態となります。義元は小貫俊通の居城である部垂城を攻撃し、陥落させました。さらに、岩城成隆や江戸忠通が佐竹氏の領土に侵攻し、これに呼応する形で佐竹一族の高久義貞も反旗を翻しました。

これらの反乱に対し、義篤は伊達稙宗の仲介で江戸忠通らと和睦し、孤立した高久義貞を降伏させることで、一旦は反乱を鎮圧しました。

部垂の乱と勢力拡大

しかし、内紛は終わりませんでした。天文7年（1538年）には佐竹一族の宇留野長昌が反乱を起こし、翌年には那須政資・那須高資親子の争いに介入。義弟である小田政治と共に政資を支援しました。天文9年（1540年）には、再び部垂城を急襲し、宇留野義元を自害に追い込み、高久義貞の反乱に続く宇留野義元の反乱（部垂の乱）を終結させました。この戦いで、義元に味方した兄・今宮永義や小場氏、前小屋氏らも支配下に置きました。

部垂の乱の背景には、佐竹氏と山入氏の長年の争いである山入の乱が鎮圧されたことが関係しているとされています。山入氏との争いが終結したことで、佐竹氏は久慈川以西の支配を強化しようとし、これに反発した宇留野氏などの在地勢力が、義篤の弟である義元を担ぎ出して挙兵したと考えられています。

義篤は、これらの内乱を鎮圧するとともに、対外的にも積極的に活動しました。白河結城氏や那須氏と戦って勢力を拡大し、国内では江戸氏を従属させるなど、常陸北部を統一し、佐竹氏を戦国大名へと成長させました。また、室町幕府奉公衆であった美濃佐竹氏の佐竹基親が下向したことをきっかけに、幕府との関係を再構築しました。

伊達氏の天文の乱では伊達晴宗を支援し、伊達稙宗方の相馬氏と戦いました。

死去と子息

天文14年（1545年）、義篤は死去しました。

子息には、庶長子の佐竹義友、嫡男で佐竹氏第17代当主となった佐竹義昭、義友の同母弟である佐竹義繁、光明院の僧となった宥賢、正宗寺の僧となった崇哲がいます。また、小野崎義昌も義篤の子です。

小野崎義昌は、永禄7年（1564年）に大掾氏の名跡を継ぎ大掾昌幹と名乗りますが、一族や家臣の反対に遭い追放され、太田城に戻りました。その後、父・義篤の一字を取って義昌と改名し、小野崎氏の家督を継承しました。天正13年（1585年）に人取橋の戦いの陣中で家臣に刺殺されました。

まとめ

佐竹義篤は、内乱を乗り越え、周辺勢力との戦いを通じて、佐竹氏を戦国大名へと押し上げた重要な人物です。彼の治世は、佐竹氏が常陸国において確固たる地位を築く上で重要な転換点となりました。



参考文献

* 七宮涬三『常陸 出羽 佐竹一族』(新人物往来社) ISBN 978-4-404-03508-0

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