佐那神社

佐那神社について

佐那神社（さなじんじゃ）は、三重県多気郡多気町仁田にあり、旧社格は県社である。この神社の主祭神には天手力男命が祀られており、伊勢神宮の皇大神宮（内宮）において相殿神としての地位を持っている。また、社殿は伊勢神宮から払い下げられた古材を使用して造り替えられたことから、伊勢神宮との密接な関係が窺える。

社名の由来

「佐那」という名は、『古事記』や『皇太神宮儀式帳』に記されている「佐那県」という古い地名に由来しており、近世には鎮座地周辺が「佐奈谷」とも呼ばれていた。江戸時代には、大森社や中の宮という俗称も存在した。また、『勢陽五鈴遺響』では「佐奈神社」と呼ばれており、中の宮の名は近隣の須麻漏賣社や櫛田神社との関連性が考えられている。

祭神について

この神社では、天手力男命と曙立王命の2柱が主祭神として祀られている。『延喜式神名帳』には「佐那神社二座」と記されており、天手力男命が一方の祭神であることは多くの文献で確認されるが、もう一柱の神については曙立王命の他にもさまざまな説があげられている。天手力男命は『古事記』の天孫降臨の部分にも登場し、曙立王命は開化天皇に関する記述で言及されている。

神社の境内

佐那神社は仁田集落の南側に位置し、境内面積は3,435坪（約11,355m²）に及ぶ。標高41mの丘陵の斜面に立地し、南には佐奈川が流れている。境内には社務所、手水舎、拝殿、本殿、神饌所などが揃っており、社務所は木造平屋建ての伝統的な造りをしている。また、境内社には和玉神社と神明社があり、和玉神社では郷土の国事殉難者が祀られている。

信仰の中心

佐那神社は多気町仁田・五桂地域の産土神として広く信仰を集めている。氏子地域は旧多気郡佐奈村全域で、毎年多くの参拝者が集まる。特に正月や例祭の時期には多くの来訪者で賑わい、周辺地域だけでなく名古屋や大阪からも訪れる人々が増える。このことから、神社が地域の精神的な支柱であることが伺える。

歴史的背景

創建については詳細が不明であるが、少なくとも平安時代には存在していたことが『延喜式神名帳』に記されている。過去には伊勢神宮の外宮造替使によって社殿が改築され、文献にもその名が確認されている。1868年に村社に昇格し、1908年には諸社が合祀され、名称が「佐那神社」に戻された。

祭儀

佐那神社の祭儀には毎月1日・15日に行われる月次祭や、歳旦祭、祈年祭、例祭などがある。例祭は県社に昇格を記念して10月8日になった。また、神職は宮司や禰宜、総代から成り、昔は神主一人と神人六人からなる「七人衆」も存在した。

交通とアクセス

神社へのアクセスは非常に便利で、多気町立佐奈小学校の西隣に位置している。JR紀勢本線の佐奈駅から徒歩10分ほどで到着でき、バスも利用可能である。また、自家用車を利用する際は伊勢自動車道の勢和多気ICから約5分でアクセスでき、近隣には駐車場も完備されている。

このように、佐那神社は歴史的かつ文化的な意義を持つ神社であり、地域の人々に深く根付いた存在である。

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