八丁目城

八丁目城（福島県福島市）

八丁目城は、現在の福島県福島市松川町に存在した戦国時代の城館です。現在は愛宕神社、八幡神社が山頂に祀られており、山城として保存状態が良いのが特徴です。特に土塁の跡が多数確認でき、当時の構造を今に伝えています。

歴史

城の名前は、安達郡と信夫郡の境界をなす境川から八町（約872メートル）の距離にあることに由来します。この境川は、かつて二本松藩と福島藩の境界であり、現代では二本松市と福島市の市境となっています。

築城時期や築城者については明確な記録が残っていませんが、天文の乱（1542年～1548年）の頃には堀越興行（能登守）が居城としていたと伝えられています。伊達稙宗が、大森城の支城として八丁目城を設置したとも言われており、天文の乱の際には稙宗自身も一時在城したとされています。

元亀元年（1570年）、当時の城主であった堀越宗範が二本松城主・二本松義国に寝返ったため、八丁目城は二本松領となりました。しかし、天正2年（1574年）には大森城主・伊達実元が八丁目城を奪還し、再び伊達領となります。以後、八丁目城は南の二本松氏に対する抑えの城として、伊達氏にとって重要な拠点となりました。

天正12年（1584年）頃には、実元が家督を成実に譲り、八丁目城に隠居しました。実元はその後、この城で亡くなったとされています。天正14年（1586年）に成実が二本松城へ移ると、片倉景綱が大森城主となりますが、八丁目城は引き続き成実の所領として維持されました。

天正18年（1590年）の奥州仕置の際、浅野長政が大崎氏領へ向かう途中に八丁目城に滞在したという記録が残っています。八丁目城は、この奥州仕置の際に廃城になったと考えられています。

構造

八丁目城は、現在の福島市南端、松川町中心部の西北に位置する山に築かれました。本丸は東西40m・南北50mの規模で、本丸の南側には南北に細長い曲輪が配置されています。その下には幅15～20mの帯曲輪が巡らされており、城全体の規模はおよそ東西400m、南北450mに及びます。城の南方には、約1kmにわたって安達峠まで平地が広がっており、交通の要衝としての役割も担っていました。

築城に合わせて南から集落が移転させられ、後に八丁目宿と呼ばれる宿場町が形成されました。この宿場町は奥大道（後の奥州街道）が通り、米沢街道（土湯街道）および相馬街道の合流点に位置していたため、二本松城下と福島城下の中間に位置し、江戸時代には奥州街道の宿場町として大いに繁栄しました。

現在、麓には旧松川小学校の跡地があり、移転後には町民のためのグラウンドと施設が整備されています。山の中腹からは、旧八丁目宿の町並みと土合山を一望できます。

街道を挟んで東方約800mに位置する土合山には、八丁目城の支城である土合館が築かれていました。現在は土合舘公園として整備され、アジサイの名所として親しまれています。

関連事項

山城
日本の城一覧
伊達稙宗（八丁目城の築城に関与したとされる人物）
松川事件（事件現場が八丁目城跡の近隣）

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