八溝山地

八溝山地について

八溝山地は、福島県白河市の南部から、茨城県と栃木県の県境付近を南へと連なり、筑波山に至る山地です。この山地は、福島県東白川郡棚倉町と茨城県久慈郡大子町にまたがる八溝山を主峰としています。

地理的特徴

八溝山地は、阿武隈高地とは棚倉構造線によって形成された地溝を流れる久慈川によって隔てられています。かつては広義の阿武隈高地に含められることもありましたが、現在では独立した山地として認識されています。

この山地の特徴として、開析が進んでいる点が挙げられます。谷が樹枝状または放射状に刻まれており、その地形から、北から順に八溝山塊、鷲子山塊、鶏足山塊、筑波山塊という4つの主要な山塊に区分されます。

八溝山塊：山地北部に位置し、主峰の八溝山をはじめとする山々が連なります。
鷲子山塊：八溝山塊の南に位置し、久慈川の支流である押川によって浸食された大子盆地を挟んで、八溝山塊と対峙しています。
鶏足山塊：鷲子山塊の南に位置し、那珂川によって大きく浸食されています。
筑波山塊：山地の最南端に位置し、鶏足山塊との間は最も浸食が進んでいます。この地域は、水戸線、国道50号、北関東自動車道が通り、北関東地域の交通の要衝となっています。

主な山々

各山塊には、以下のような特徴的な山々があります。

八溝山塊

八溝山（1,022m）：山地の主峰
高笹山（922m）
大神宮山（746m）
大笹山（875m）
五来山（670m）
花瓶山（692m）
高戸山（581m）

鷲子山塊

松倉山（345m）
鷲子山（463m）：別名「とりのこ山」
尺丈山（512m）
愛宕山（477m）

鶏足山塊

花香月山（378m）
鶏足山（431m）
仏頂山（431m）
雨巻山（533m）
八瓶山（345m）

筑波山塊

筑波山（877m）
加波山（709m）
難台山（553m）

関係する自治体

八溝山地は、以下の自治体にまたがっています。

福島県：白河市、棚倉町、塙町、矢祭町
栃木県：那須町、大田原市、那珂川町、那須烏山市、茂木町、益子町、真岡市
茨城県：大子町、常陸大宮市、城里町、水戸市、笠間市、桜川市、石岡市、つくば市、土浦市、かすみがうら市

地質

筑波山塊を除く3つの山塊は、八溝層群と呼ばれる砂岩とヘキ岩の互層から形成されています。鶏足山塊の南部と筑波山塊には花崗岩が見られ、特に筑波山の標高600m以上の部分には斑れい岩が存在します。この多様な地質が、八溝山地の独特な地形や植生を形成する要因となっています。

動植物と文化

八溝山地には、豊かな自然が残されており、多様な動植物が生息しています。また、地域には、鷲子山上神社（トリノコサンショウジンジャ）のような文化的な名所も存在します。

鷲子山上神社

栃木県と茨城県の県境に位置する鷲子山上神社は、同じ敷地内に栃木県側と茨城県側の2つの社務所がある珍しい神社です。この神社の御祭神は天日鷲命で、鳥の神様として知られています。また、フクロウが神の使いとされ、フクロウの神社としても有名です。

参考文献

貝塚爽平ほか編 『日本の地形4 関東・伊豆小笠原』 東京大学出版会、2000年、ISBN 978-4130647144。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会編纂 『角川日本地名大辞典8 茨城県』 角川書店、1983年。

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