出水駅

出水駅：新幹線と在来線が交差する歴史と活気あふれる駅

鹿児島県出水市上鯖淵に位置する出水駅は、九州旅客鉄道（JR九州）九州新幹線と肥薩おれんじ鉄道線が乗り入れる重要な交通拠点です。新幹線では「さくら」と「つばめ」が1時間に1～2本停車し、新大阪駅発着の「さくら」は朝夕を中心に運行されています。ただし、熊本駅～鹿児島中央駅間を速達運転する新幹線は停車しません。肥薩おれんじ鉄道線では、八代駅と川内駅の中間に位置し、車両基地も併設されていることから、同線の重要な拠点駅となっています。

歴史を刻む出水駅

出水駅の開駅は1923年（大正12年）10月15日にまで遡ります。その後、1927年（昭和2年）の湯浦駅～水俣駅間の開業、路線の編入を経て、発展を遂げてきました。1949年（昭和24年）には昭和天皇のお召し列車が停車するなど、歴史的な出来事も数多く経験しています。

国鉄時代には出水機関区が設置され、機関車や貨物列車の中継基地として栄え、広大なヤードが広がっていました。1970年（昭和45年）の鹿児島本線全線電化開業、それに伴う蒸気機関車の運行終了、出水機関区の廃止を経て、1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化によりJR九州に継承されました。1999年（平成11年）には出水運転区が廃止されました。2004年（平成16年）3月には九州新幹線が新八代駅～鹿児島中央駅間で開業し、出水駅も停車駅となりました。同時に、鹿児島本線八代駅～川内駅間が肥薩おれんじ鉄道に移管され、在来線部分は肥薩おれんじ鉄道の駅となりました。同年4月には新しい駅舎が完成し、改札口と待合室が移転しました。新駅舎は鉄道建築協会賞に入選するなど、そのデザインも高く評価されています。

駅構造

JR九州の九州新幹線部分は、相対式ホーム2面2線を有する高架駅です。安全確保のため、可動式安全柵が設置されています。みどりの窓口を備え、かつてはキヨスクもありましたが、現在は廃止されています。

肥薩おれんじ鉄道部分は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の、合計2面3線を有する地上駅です。NPO法人北薩倶楽部が管理する簡易委託駅で、自動券売機や出札窓口、待合室が設置されています。在来線部分の改札口は1番線ホームに直結しており、新幹線改札口は跨線橋に直結、跨線橋からは肥薩おれんじ鉄道ホームへ直接アクセスできます。

旧駅舎も残っており、現在も一部使用されています。この旧駅舎は、1951年に建てられた鉄筋コンクリート造りの2階建て建物で、国鉄・JR九州時代の面影を残しています。

運行状況と周辺環境

肥薩おれんじ鉄道では、多くの列車が出水駅を発着しており、かつてはJR九州鹿児島本線への直通快速列車もありました。現在は、おれんじ食堂を除く定期列車は全て各駅停車となっています。また、車両基地があるため、列車の交換や増解結作業が行われることもあり、停車時間が長くなる場合があります。

駅周辺は、東口は閑散としていますが、西口側は、かつての国鉄・JR時代の面影を残す建物がいくつか残っています。西口には蒸気機関車C56形92号機が保存展示されています。バス路線は西口から発着し、鹿児島空港への連絡バスや、天草諸島への連絡バスも運行されています。

過去の姿

国鉄時代、出水駅は主要駅として、機関区や電力区、信号通信区、貨車用コンテナヤード、転車台、扇形庫など、多くの施設が設置されていました。駅周辺には、出水製紙など複数の工場への専用線も敷設されていました。これらの専用線は、1980年代に廃止されましたが、その跡地は、現在では肥薩おれんじ鉄道の車両基地や道路、駐車場などに転用されています。

まとめ

出水駅は、新幹線と在来線が接続する重要な交通拠点であると同時に、国鉄時代の面影を残す歴史深い駅です。新幹線利用者も多く、地域経済にも貢献しています。歴史的建造物や蒸気機関車など、見どころも多いので、訪れる際には、ぜひ周辺も散策してみてください。

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