水俣駅

水俣駅

水俣駅（みなまたえき）は、熊本県水俣市桜井町一丁目にある肥薩おれんじ鉄道線の駅です。駅番号はOR13。かつては九州旅客鉄道（JR九州）鹿児島本線の駅であり、山野線が分岐していました。

歴史

開設から国鉄時代

1926年（大正15年）7月21日、鉄道省川内本線の駅として開業しました。その後、1927年（昭和2年）には、湯浦駅 - 水俣駅間が開業し、八代駅 - 川内駅 - 鹿児島駅間が鹿児島本線に編入されました。1931年（昭和6年）には、昭和天皇が陸軍特別大演習後に県内を巡幸した際、お召し列車が八代駅 - 水俣駅、水俣駅 - 熊本駅間で運行されました。1934年（昭和9年）には、山野西線が当駅から久木野間まで開業しました。1949年（昭和24年）には、日本国有鉄道が発足し、水俣駅もその管轄となりました。

1955年（昭和30年）には、現在の駅舎が完成しました。1972年（昭和47年）には、みどりの窓口が営業を開始し、1982年（昭和57年）には山野線の貨物列車が廃止されました。1986年（昭和61年）には、チッソ専用線を含む貨物取扱が廃止されました。

JR九州への移行と肥薩おれんじ鉄道への転換

1987年（昭和62年）には、国鉄分割民営化によりJR九州の駅となりました。1988年（昭和63年）には、山野線が廃止されました。2004年（平成16年）には、九州新幹線部分開業に伴う鹿児島本線（八代駅 - 川内駅間）の経営移管により、肥薩おれんじ鉄道の駅となりました。この際、駅構内の中線と旧3番線は使用停止となりました。また、同年にキヨスクとジョイロード水俣旅行センターが閉店しました。

2005年（平成17年）には、八代駅からの当駅折り返し列車が全て出水方面に延長され、当駅止まりの列車は消滅しました。2007年（平成19年）には、水俣港発着航路の廃止に伴い、フェリーとの連絡運輸が終了しました。

駅舎リニューアルと現在

2015年（平成27年）には、駅舎改装工事のため旧改札口と待合室が閉鎖され、仮設の改札口と待合室が設けられました。同年4月には、駅舎がリニューアルオープンしました。駅舎のデザインは、水戸岡鋭治が担当しました。2016年（平成28年）には、クルーズトレイン「ななつ星in九州」の停車駅となりました。

駅名の由来

水俣駅の駅名は、開業時の地名である葦北郡水俣村に由来します。「水俣」とは、「川が二股になったところ」という意味で、この地が水俣川と湯出川の合流地点にあることから名付けられました。

駅構造

水俣駅は、NPO法人ななうらステーションが管理する簡易委託駅です。島式ホーム1面2線と相対式ホーム1面1線を有し、中線も備えていますが、現在は中線と島式ホーム外側の3番線は使用されていません。トイレは駅舎内にあり、男女別の水洗式です。

駅は水俣市の中心駅であり、普通列車、快速列車、観光列車「おれんじ食堂」の全列車が停車します。また、クルーズトレイン「ななつ星in九州」の乗入期間中は当駅も停車駅となります。

駅舎は老朽化のため、2014年11月から総事業費1億1400万円をかけて改装工事が行われました。駅舎のデザインは、水戸岡鋭治が担当しました。駅構内には、レストラン「MINAMATAYA（水俣屋）」が入居し、水俣の伝統工芸品「イワシかご（竹籠）」を設置した待合室やキッズルームも設けられました。

駅のリニューアルと同時に開店したレストラン「旬菜カフェ水俣屋」は閉店し、その後「水俣屋」の名を引き継いだ喫茶店も閉店しました。その後、2020年1月には、カレーうどん店兼チャーハン店の「MINAMATAYA（水俣屋）」として再オープンしましたが、2022年1月現在、こちらも閉店しています。

駅舎リニューアルに伴い、防犯上の理由から夜24:00 - 翌朝5:50までは館内が閉鎖され、駅舎横の通路が出入口となります。この時間帯は券売機が使用できないため、整理券を取って乗車することになります。

営業時間

駅窓口: 5:50 - 17:55

のりば

列車の発着は基本的に駅舎側の1番線で、列車交換がある時などに2番線も使用されます。

付記事項

鹿児島本線時代の2004年3月12日までは特急停車駅であり、3番線や中線も使用され、当駅折り返しの列車も多く設定されていました。また、当駅と博多駅・小倉駅の間を結ぶ特急「有明」が朝晩に1往復設定され、中線を使って夜間滞泊も行われていました。改札口には行先発車標や座席案内標が設置されていました。廃止された山野線は主に3番線で発着していました。駅舎内にはみどりの窓口、待合室にはキヨスクがあり、駅弁や水俣名物の蜂楽饅頭、三太郎餅も販売されていました。ジョイロード（現JR九州旅行）水俣旅行センターも隣接していましたが、経営移管時に閉店しました。

当駅のみどりの窓口はマルスが撤去され、隣の新水俣駅に機能を移転しましたが、現在も出札窓口として使用されています。キヨスクも新水俣駅に移転し、当駅のキヨスクを含む待合室跡は、パン工房「風季のとう」に改装された後、2015年から水俣屋になりました。旅行センター跡は待合室に改装されています。

シンガーソングライターの村下孝蔵の出身地であり、かつて待合室の一部に「村下孝蔵ミニ博物館」が設置され、生前に使われていた楽器など数多くの遺品が展示されていましたが、駅舎リニューアルの際に撤去されました。

肥薩おれんじ鉄道に移管された際に使用停止となった発車標や座席案内標は撤去されました。開業時はJR線時代の名残として、八代方面から当駅折り返しの区間列車が3本設定されていましたが、2005年3月1日のダイヤ改正で八代方面からの列車は全て出水方面に延長されたため、早々に消滅しました。それ以降は当駅始発終着の定期列車は設定されていません。かつては早朝に当駅始発の出水・川内方面隈之城行きの列車が設定されていましたが、2021年3月13日のダイヤ改正で米ノ津駅始発に短縮され消滅しました。

国鉄時代は、山野線が発着していた3番線の隣に広大な貨車入換用側線、駅北西側にチッソ水俣工場への入換線と専用線を有していました。1985年頃に全貨物取扱が廃止されるまでは、鹿児島本線の主要な貨物取扱駅の一つでした。また、JR時代まで水俣保線区・水俣信号通信区（後に合併して水俣工務センターが発足）が存在し、鹿児島本線や山野線の熊南地域の保線・修繕基地としての役割も担っていました。貨物取扱廃止後、側線は廃車予定の貨車の留置などに使用するためにしばらくは遺されていましたが、国鉄の分割民営化後に全て撤去され、跡地は住宅地や水俣自動車学校の敷地に転用されています。現在では駅構内の上り線側に機関車入換線跡や渡り線のポイントレールが遺っており、入換線跡は安全側線として使われています。下り線側には、当時の貨物列車や機関車入換に使われていたシーサスクロッシングのポイントレールや、機関車・貨車・山野線列車用の留置線、水俣保線区跡の建物が遺っています。水俣保線区跡の建物には、JR九州グループの子会社である三軌建設水俣工事所が入居しています。

貨物取扱（廃止）

チッソ水俣工場専用線

かつて、駅の北西側に位置するチッソ水俣工場（水俣本部）への専用線があり、原材料や製品の化学薬品の貨物輸送が行われていました。当時は、駅南西側に入換機関車の車庫や入換線があり、本線からの貨物列車は側線や中線から一旦この入換線に引き込まれた後、スイッチバックする形で推進運転で専用線に入り、駅前通りと国道3号の踏切、用水路を渡って工場に向かっていました。

1980年代頃からチッソの製造品目や生産体制の見直しで輸送量が減少したほか、国鉄の労働争議やチッソへの抗議行動による輸送混乱などを受けて、輸送手段は道路輸送などに転換し、専用線は1985年頃に休止されて翌年廃止されました。専用線跡は、宅地化や駐車場化されており、工場内を含めて遺構はほとんど残っていませんが、駅構内から工場に向かう曲線部が駐車場や一般道路に転用されて面影を残しています。また、駅構内入換線跡や入換線と専用線分岐跡も一部は駐車場になったものの大部分が空き地のまま遺っており、駅南西の八ノ窪踏切前にも入換線があった事を示す車止めが残されています。

使用車両

駅と工場内との間の貨車入換用として、ニチユ製小型蓄電池機関車が使用されていました。原料搬入、製品出荷用の貨車は、水俣駅常備として配属されており、チッソ所有の私有タンク車が主体でした。また、国鉄のトラ40000形無蓋車の一部にも、小ロットのタンクコンテナ輸送専用として水俣駅常備とされたものが存在しました。

運行

グループ企業のチッソ石油化学五井工場（浜五井駅付近）や、設立経緯から関連の深い旭化成工業薬品工場（南延岡駅付近）をはじめとする化学工業メーカーとの間で、原材料や製品輸送が行われました。貨車は、水俣駅常備貨車のほか、チッソ石油化学の私有タンク車も入線しました。また、上記以外の需要先への製品発送などもあり、国鉄有蓋車も使用され、コンテナ貨物の取扱もありました。

駅弁

かつては、八代市に本社を構えていた株式会社みずあらい水俣支店や、近隣の仕出し業者森弁当が調製した幕の内弁当や御寿司などが発売されていましたが、みずあらいは倒産、廃業のため1990年代後半に駅弁発売を終了しています。みずあらいの廃業以降は森弁当だけが駅弁販売していましたが、こちらも経営移管のため2004年3月12日の発売を以て終了しました。

利用状況

駅周辺は水俣市の中心市街地であり、多くの商業施設や公共施設が立地しています。

至近

ビジネス旅館「桂」- 約1分
チッソ水俣本部・JNC水俣製造所
水俣市役所
水俣郵便局
水俣昭和郵便局
水俣百間簡易郵便局
蘇峰記念館 - 徳富蘇峰記念施設
徳富蘇峰・蘆花生家
日本一長〜い運動場 - 山野線跡地

遠方

水俣港 - 獅子島汽船が発着
湯の児温泉
湯の鶴温泉
湯の児スペイン村福田農園
みなまた観光物産館まつぼっくり
もやい館 - 水俣市総合もやい直しセンター
おれんじ館 - 水俣市南部もやい直しセンター
エコパーク水俣
熊本県環境センター
水俣市立水俣病資料館
国立水俣病情報センター
水俣メモリアル

バス路線

熊本県内を営業エリアとする産交バスと、鹿児島県から乗り入れる南国交通のバスが利用できます。

産交バス（駅前）

つなぎ温泉・道の駅たのうら
水俣港
水俣産交
みなくるバス（産交バス運行）

南国交通（国道沿い）

エアポートシャトル（山野線代替）：大口・鹿児島空港
出水・高尾野・阿久根佐潟口車庫

隣の駅

肥薩おれんじ鉄道

■肥薩おれんじ鉄道線
新水俣駅（OR12） - 水俣駅（OR13） - 袋駅（OR14）

廃止区間

九州旅客鉄道（JR九州）
山野線
* 水俣駅 - 東水俣駅

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