出雲八重子

出雲八重子について

出雲八重子（いずも やえこ、1909年9月8日生まれ）は、日本の映画界で非常に重要な存在である女優です。本名を泉ヤエ（いずみ やえ）とし、出雲八枝子、出雲八恵子といった別名でも知られています。彼女は青森県八戸町（現・八戸市）に生まれるものの、原籍地は鹿児島県鹿児島市にあります。

学びと俳優活動の始まり

八重子は実科高等女学校を卒業後、エリアナ・パヴロワからダンスの指導を受けました。彼女の芸能界でのキャリアは1930年5月に松竹蒲田撮影所に入社したことに始まります。初の映画作品は五所平之助監督による『微笑む人生』でした。この作品をきっかけに、彼女は多くの映画に出演していくことになります。

特に1932年に公開された斎藤寅次郎監督の『女は寝て待て』では、小倉繁との共演によって注目を浴び、以降は斎藤監督の短編喜劇作品に頻繁に登場するようになりました。彼女はその愛らしい容姿と演技によって、多くの観客から愛される存在となっていきました。

主な作品と役どころ

出雲は『腰の抜けた女』の主役を務めるなど、短編喜劇の三枚目女優として活躍しました。また、『この子捨てざれば』では、彼女の演技が評価され、キネマ旬報のベストテンに選ばれるなど、多くの人々に支持されました。喜劇作品以外でも、小津安二郎の『大学よいとこ』に助演するなど、多様な役をこなしました。特に、戦時中に製作された映画『湖畔の別れ』では、炊事婦としての役を鮮やかに演じています。

また、彼女は映画の制作過程でアクシデントに遭遇したこともあります。例えば、斎藤の喜劇映画『新婚三塁打』の撮影中、主演の小倉が振ったバットが彼女の髷ではなく、後頭部に直撃したという事故が起きました。尽く不運ながらも、幸いにも重傷には至りませんでした。

戦後の再出発

戦後には一時期舞台活動があったものの、1947年に東宝に入社し、多くの名監督たちの作品に参加しました。成瀬巳喜男監督の作品をはじめ、豊田四郎や黒澤明との共演も果たしました。彼女の存在感は、映画界で欠かせないものであり続けました。

1967年には岡本喜八の『殺人狂時代』での狂女役が、彼女の最後の映画出演作となりました。その後の彼女の消息は不明ですが、彼女が残した作品や演技は、今でも多くの人々の記憶に刻まれています。

結論

出雲八重子の生涯は、日本の映画史における一つの重要な章であり、彼女の豊かな表現力と独自の個性は、観客に深い印象を与えました。時代を超えて受け継がれる彼女の作品群は、今なお日本映画の素晴らしい遺産となっています。

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