別寒辺牛湿原

別寒辺牛湿原について

別寒辺牛湿原（べかんべうししつげん）は、北海道厚岸郡厚岸町に位置する湿地帯で、1993年のラムサール条約に登録されました。この湿原は厚岸湖の上流にあり、その面積は当初の4,896ヘクタールから、2005年にウガンダで開催された第9回締約国会議で381ヘクタールが追加され、総面積は5,277ヘクタールに達しました。

地理

北海道の厚岸町に広がる別寒辺牛湿原は、約8,300ヘクタールの湿地を含む主要な環境保護地域です。湿原は、チライカリベツ川やトライベツ川、フッポウシ川などの支流によって形成されており、これらの川と繋がっています。湿原全体を一望することは難しいものの、その広さは東京ドーム約1,600個分とされ、釧路湿原の半分に相当します。

地名の由来

別寒辺牛湿原という名前はアイヌ語から派生しています。江戸時代のアイヌ語通訳であった上原熊次郎の記録によると、「ペカンペウシ」は「沼菱が生ずる場所」を意味し、「ペカンペウㇱイ（ヒシが多い場所）」に由来すると考えられています。永田方正は、「水上を行く」と述べており、これが名の由来とされていますが、その解釈については後の研究者により異論も出されています。

自然環境

別寒辺牛湿原の大部分は低層湿原であり、厚岸湖に流れ込む別寒辺牛川の河口など特定の場所では高層湿原も見られます。特にトライベツ川中流域には、ガンコウランやイソツツジ、ヒメシャクナゲなどの高山植物が豊富に生息するおよそ110ヘクタールの群落が広がっています。また、この湿原にある厚岸湖・別寒辺牛川水系には、イトヨ型やトミヨ型などのトゲウオ科魚類が共生しており、その種のバリエーションは世界的にも珍しいです。さらに、生態系にはエゾヒグマや40つがい以上のタンチョウが繁殖する様子が観察されています。

生物多様性

湿原の植物相にはオオミズゴケを基盤としたミズゴケ群集があり、その上にガンコウラン、ヤチツツジ、イワノガリヤス、イソツツジ、ヒメシャクナゲといった希少植物が見られます。また、鳥類の中にはオオハクチョウ、オジロワシ、オオワシ、タンチョウなどが生息し、豊かな生態系を形成しています。魚類でも、トゲウオ科の5種、イトウ、アメマスなどが確認されており、動物に関しても希少なドーベントンコウモリやキタクビワコウモリ、テングコウモリなど約13種類の種が生息しています。このように、別寒辺牛湿原は豊かな自然環境と多様な生物種で知られています。

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