劉延年 (前趙)

劉延年（りゅう えんねん）

劉延年（生没年不詳）は、中国五胡十六国時代の漢（後の前趙）の皇族であり、匈奴屠各種攣鞮部の長である劉豹の子で、光文帝劉淵の長兄にあたります。また、劉良孫の父でもあります。

生涯

15歳の時に叔父に養育され、その誠実さと孝行ぶりで評判を高めました。

ある時、劉延年の子である劉良孫と従弟が、食人の風習を持つ蛮族に攫われるという事件が発生します。劉延年は直ちに彼らを追い、蛮族に許しを請いました。蛮族は劉良孫のみを返しましたが、劉延年は「私は幼い頃に孤児となり、叔父に養育されました。従弟は叔父の一人息子です。どうか私の子と従弟を交換してください」と懇願しました。この行動に感銘を受けた蛮族は、「あなたは義士だ」と言い、二人とも解放しました。

後に劉延年は左独鹿王に任じられます。304年、弟の劉淵が挙兵すると、司馬穎救援のために右於陸王劉景と共に歩兵・騎兵2万を率いて鮮卑討伐に向かいました。

308年10月、劉淵が帝位につくと、劉延年は江都王に封じられました。劉淵が文水県西南11里の場所に城を築くと、劉延年がその鎮守を任されました。劉淵は胡語で長兄を「大干」と呼ぶことから、この城を大干城と名付けました。劉延年は将軍として兵士を巧みに統率し、常に兵士と共に幕中に留まったと伝えられています。

309年、劉延年は大司空に任じられ、310年7月には劉淵が重篤に陥った際、太保に任じられて後事を託されました。その後、太宰にも任じられています。

312年1月、甥の劉聡が太保劉殷の娘を後宮に入れようとした際、同じ劉姓であることを理由に劉聡の末弟である劉乂が強く諫めました。劉聡は伯父の劉延年と太傅劉景にこの件について意見を求めると、劉延年らは「劉殷は周王室の劉康公（姫季子）の子孫であると聞いております。陛下の家系とは異なりますので、問題ないでしょう」と答えました。劉聡は大いに喜び、劉殷の娘二人（劉英と劉娥）を貴嬪とし、その位を昭儀よりも上位にしました。さらに、劉殷の孫娘四人を貴人とし、貴嬪に次ぐ位としました。

3月、劉聡の遊猟を諫めた中軍王彰が処刑されそうになった際、劉延年は諸公卿列侯100人余りと共に劉聡の前に進み出て、冠を外し涙を流しながら諫言しました。「光文帝（劉淵）は聖なる武力によって大業を興しましたが、天下はまだ安定しておりません。陛下は光文帝の徳を受け継ぎ、東に洛陽、南に長安を平定されました。その功績は周の成王に匹敵し、徳は夏の啓王を超越しています。しかし近年、陛下は僅かな過ちで王公を処刑し、正しいことを言っただけで大将を投獄し、遊興にふけり朝政を顧みようとされません。臣らはその意味を理解できず、心を痛めて寝食を忘れるほどでございます。」この諫言を聞き、劉聡はついに怒りを鎮め、王彰を許しました。

314年1月、劉延年は録尚書六条事に任じられました。

参考文献

* 『晋書』巻101･載記第1-2

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