王彰

王彰（おう しょう）は、明代に活躍した官僚であり、その字は文昭と称しました。1366年に開封府鄭州管城県で生まれ、1427年に62歳で亡くなりました。彼は、王汝能と郭氏の間に生まれた子として、その生涯をスタートさせました。

1387年、王彰は郷里の推薦を受け、その才能を認められます。翌年には会試に失敗したものの、国子生として学問に励みました。その後、彼は山東での食糧売買を担当し、その公正な仕事ぶりで人々の信頼を集めました。1389年には吏科源士に抜擢され、後に吏科給事中、都給事中、そして刑部福建司員外郎へと昇進を重ねます。さらに山西布政使司左参政という要職も歴任しました。

1407年、王彰は嘉議大夫・礼部右侍郎として都に召し出されます。しかし、翌年に父が亡くなると、彼は職を辞して喪に服します。1411年に喪が明けると、戸部右侍郎に転じ、その年の7月には、陝西で発生した疫病鎮静のため勅使として西岳を祀るという重要な役割を果たしました。また、新安県の民が税の支払いのために子女を売っていたという事実を知った王彰は、税を免除するよう上奏し、売られた子女を買い戻すなど、民への深い思いやりを示しました。1412年には、都察院右副都御史に転じ、その手腕をさらに発揮します。

陝西僉事の馬英がチベット系民族の反乱を引き起こした際には、王彰は馬英を弾劾し、その責任を追及しました。また、賄賂を受け取った御史の陳孟旭や、母を追放した金吾右衛指揮使の李厳の不正も暴き、彼らを死罪に処しました。1413年には、永楽帝の北巡に従い、その際に、母親が八十数歳であったことから帰省を命じられ、母に冠服金幣が下賜されました。永楽帝は、「君子は官にあっては親を忘れず、家にあっては君主を忘れない」と王彰を諭し、通過した地域の民の安否や官吏の善し悪しを報告するように命じました。王彰が北京に戻り報告すると、永楽帝はその内容に満足しました。1420年には、資善大夫・右都御史に昇進しました。

1421年、永楽帝が廷臣を各地に派遣して巡撫を行わせた際、王彰は給事中の王励とともに河南を巡撫しました。明代において、大臣が故郷の巡撫を務めることは稀であり、王彰と葉春の二人のみでした。河南では水害が発生し、多くの民が流浪していましたが、現地の官吏は適切な救済を行っていませんでした。王彰は不正を働いていた100人以上の官吏を降格させ、不必要な徴税を中止させました。そして、流民を呼び戻し、官庫を開放して食料を貸し与えるなど、民の生活再建に大きく貢献しました。1422年には、漠北遠征の食料輸送を監督する役目を命じられます。1424年には、黄河が開封で氾濫を起こした際、王彰は都指揮の李信とともに開封に派遣され、被災者への救済活動を行いました。

1426年、王彰は良郷から南京にかけての地域を巡撫するよう命じられました。しかし、報告内容が実態に即していないとして、宣徳帝から叱責を受け、より詳細な報告を求められます。その後、彼は北京に召還され、都督の山雲とともに山海関から居庸関にかけての諸関を巡視し、規律を守らない将士を報告しました。宣徳帝は、その報告を受けて、違反者を逮捕し糾明するように命じ、さらに御史や給事中を派遣して定期的に点検するように指示しました。

1427年4月1日、王彰は在官のまま亡くなりました。その生涯は、常に民を思い、不正を正そうとする姿勢に貫かれていました。彼の功績は、明代の歴史に深く刻まれています。彼の死後、その業績を称える神道碑銘が楊栄によって書かれました。

王彰は、その公正さと誠実さから、民だけでなく、皇帝からも深く信頼されていました。彼は、与えられた職務を全うし、困難な状況にあっても常に最善を尽くす模範的な官僚であったと言えるでしょう。

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