劉珍 (漢)

劉珍（りゅう ちん）は、後漢時代に活躍した官僚であり、文人としても知られる人物です。彼の正確な生年は不明ですが、126年頃に没したとされています。字（あざな）は秋孫（しゅうそん）、あるいは秘孫（ひそん）といい、またの名を宝（ほう）とも称しました。出身は南陽郡蔡陽県です。

若くして学問を好んだ劉珍は、永初年間に謁者僕射（えっしゃぼくや）という官職に就きました。110年（永初4年）には、時の太后であった鄧綏（とうすい）の命を受け、校書を担当する劉騊駼（りゅうとうしょ）、馬融（ばゆう）といった学者や五経博士たちと共に、東観（とうかん）に収められていた『五経』をはじめとする諸子百家の伝記や芸術に関する書籍の校定作業に携わりました。この校定作業では、書物の誤りや脱字を整理し、文字を正すという重要な役割を果たしました。

120年（永寧元年）には、再び太后の命により劉騊駼とともに『建武已来名臣伝』という書物を編纂しました。この功績が認められ、彼は侍中（じちゅう）および越騎校尉（えつきこうい）という役職に転じました。その後、125年（延光4年）には宗正（そうせい）という、皇族を管理する重要な役職に任じられ、翌126年（永建元年）には衛尉（えいい）という、宮中の警備を担当する役職に転じました。劉珍は在官のまま亡くなったと伝えられています。

劉珍は文人としても才能を発揮し、誄（るい：死者を弔う文章）、頌（しょう：功績を称える文章）、連珠（れんじゅ：対句で構成される文章）といった形式の文章を合わせて7篇残しました。また、後世に大きな影響を与えた『東観漢記』（とうかんかんき）22篇や『釈名』（せきめい）30篇を編纂したことでも知られています。『東観漢記』は後漢の歴史を記した重要な史料であり、『釈名』は古代中国の言葉の意味を解説した辞書のような書物です。これらの編纂活動を通して、劉珍は後漢時代の学術や文化の発展に大きく貢献しました。彼の業績は、後漢の歴史と文化を理解する上で欠かせないものとなっています。

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